約20年ぶりとなる新紙幣発行が始まる7月3日が迫り、長崎県内でも券売機や両替機などの更新準備が進んでいる。新しい機器や部品の調達が遅れている事業者や、新札の流通量が徐々に増えることもあって、段階的に進める事業所もある。
 時間貸し駐車場を展開する地場企業は、県内200カ所以上の直営駐車場の精算機のうち、約7割の改修・交換を済ませた。「20年前はクレームもあったので、今回は1年前から着手した。だが(他社と精算機の)争奪戦になっている」と同社。フランチャイズ駐車場は「各オーナーに資金拠出を求める」ため未更新も少なくないとみている。
 長崎電気軌道(長崎市)の路面電車には前後1台ずつ運賃箱がある。9月ごろから順次更新していくが、68両全て完了するには「時間がかかる」という。
 長崎自動車(同市、長崎バス)は、グループ会社さいかい交通も含め、路線バス全約530台の運賃箱の改修を終えた。新千円札で支払いと両替ができる。地域ICカード「エヌタスTカード」への車内チャージは新5千円札と新1万円札も可能。
 県交通局(同市、県営バス)の路線バス全300台の運賃箱改修はまだこれから。年内完了を予定している。各バスターミナルや長崎空港に数台ある券売機は各1台ずつ新札に対応できるようにする。
 JR九州は現時点で、駅の券売機(九州約600台)の約半数が対応。本年度中に9割まで引き上げる。
 パチンコ台やパチスロ台の脇にある玉・メダル貸機を「サンド」と呼ぶ。ひぐちグループ(西彼時津町)は更新を約8割まで済ませた。利用客に現金を投入してもらう機器だけに、バックヤードの機器より優先した。スーパーのジョイフルサンアルファ(長崎市)は、全11店舗のレジ改修をほぼ完了した。ただ両社とも、各店舗に置く飲料メーカーの自販機については、更新を待つ立場にある。
 同市五島町の飲食店「キッチン政」は7月3日に間に合うように券売機を改修予定。運営会社やび家の平野悟代表は「(券売機更新の注文が業者に殺到し)3〜6カ月待ちが当たり前と聞いたが、幸い業者が部品を確保してくれていた」。キャッシュレス決済も一部取り入れているが、「まだまだ“現金派”の方は多い」という。
 十八親和銀行(同市)のATM(店外を含む全660台)と両替機はすぐ新札を使えるが、新札での払い出しや両替を希望する顧客には、営業店の窓口で応じる。取り扱い開始日時は店舗によって異なる。7月3日は一部に限り、翌4日から離島を除く店舗に広げる。離島では同月中旬開始を目指している。