長崎市で2003年、4歳男児が12歳の少年に誘拐され、殺害された事件から1日で21年。事件現場そばにある同市万才町の地蔵堂には、朝から複数の花束が供えられ、市民らが手を合わせて男児を悼んだ。
 「衝撃的な出来事だった。子どもが子どもを…」。毎年この場所を訪れているという同市の40代男性は、ジュースと菓子を供えた。「こうした事件が二度と起きないよう、風化させてはいけない。悲しむ人が一人でも減ってほしい」
 事件後に地蔵堂を設置した同市立山1丁目の井村啓造さん(77)は僧侶にお経を上げてもらい、静かに手を合わせた。「元気にしとるか。また来るからね」
 ともに訪れた同市の自営業、松尾高則さん(60)はハーモニカを演奏。「男児が自分の子どもと同じくらいの年齢だったこともあり、ここに来ると当時を思い出す」と話した。
 事件を機に発足し、少年少女の非行防止活動に取り組む県警の「学生サポーター」の大学生3人も地蔵堂前で黙とうした後、繁華街を見回った。今年、サポーターになった活水女子大4年の泉麻鈴さん(21)は「将来、教育関係の職に就こうと考えている。子どもたちに命の尊さを伝えていきたい」と決意を語った。