長引く円安を背景に今の時期、限定のイベントが大人気となっています。しかし、その一方で気になる家計への影響は、この先どうなっていくのでしょうか。

 名古屋駅にある「名鉄百貨店」。

 部屋の中にはカーテンで仕切られた幾つものブースがあり、その中で行われていたのは、客が持ち込んだ商品を業者が買い取る「買取フェア」です。

 今年は、ある傾向が見られるようです。

 「円安で大きく動いている。中古相場というのも、いま少し高くなっている。海外からも『ジャパニーズ中古』と言われるくらい、日本人が使っていたなら、きれいな状態のものが多いと海外からも人気が高くなっているんです」(岡崎屋本店 吉田裕哉さん)

 円安の影響でインバウンドの需要が伸びたことなどから、ブランド品の買い取り価格が半年前と比べて2割程度上がっているといいます。

人気の理由は?

商品を“競り”で査定する買い取り業者5社

 名古屋市在住の2人が持ち込んだのは、不要になったというルイ・ヴィトンやプラダなどのブランドバッグ。

 そこに総勢5人の男女が電卓を片手にブースに入ってきて、仰々しく商品を見定めていました。

 このフェアが人気の理由は、ここにあります。

 「『買取フェア』は最大5社の買い取り店が来ているので、目の前で競いまして、その中で1番高い値段を見てもらえる」(吉田さん)

 ブースに入ってきた5人は別々の買い取り業者で、客が持ち込んだ商品は同時に査定され、最も高い金額を提示した業者に売ることができる、競りのようなシステムになっています。

サンローランのバッグはいくらに?

査定金額の差は保有する在庫数が影響

 査定するのは、ほぼ未使用だというサンローランのバッグ。

 状態がいいものほど高値が付くといいますが、そのお値段は81500円でした。

 提示する金額に差が出るのは、保有する在庫の数などが影響しているそうで、業者同士の駆け引きが生まれる場面もありました。

 そうして、すべての査定が終了し、今回2人組の客が持ち込んだバッグは、4点で合計26万7000円になりました。

 Q. どうだった
 「思っていたくらい。調べて来ているからそんなものかなって。使い道は特にまだ決めていない。これからじっくり考えて決めたいです」(査定に来た客)

円安への家計の影響は…

秋以降に日用品・食料品が値上がりする可能性

 中古ブランド品を売りたい人にとっては”円安効果”がプラスに働いている現状ですが、この円安傾向が長く続けば、家計に大きな打撃になると経済の専門家は指摘します。

「今回の円安ですぐに家計への影響はないと思うが、一方でこの円安傾向がさらに加速すると、秋以降の値上げにつながる可能性もあると思います」(中京大学 経済学部 内田俊宏客員教授)

 今後さらに円安が進むと、ドルで取引される原油や小麦・大豆などの輸入価格が上昇。

 それを受けて、秋以降に日用品や食料品が値上がりする可能性があるということです。

国内の旅行にも影響

中京大学 経済学部 内田俊宏客員教授

 また、円安は国内の旅行にも影響が――

 「円安に伴いインバウンドの訪日外国人は確実に増加する。この地域でも高級ホテルなど相次いでオープンしているが、今後円安が進むようだと、東京・大阪・京都だけではなく、名古屋にもインバウンドの訪日客が増える可能性は高いと思う」

 円安により、日本を訪れる外国人観光客は増加。

 需要が高まることで、ホテルの宿泊費や旅行代金が引き上げられる可能性があるといいます。

 「海外旅行に行かない人でも、インバウンドの増加に伴い、国内の旅行関係費が上がってしまう。その部分を、日本人の旅行者やビジネスマンが感じる可能性はある」