ケンタッキーダービー(3歳・米G1・ダ2000m)は今年も馬券が発売される。日本からテーオーパスワード、フォーエバーヤングの2頭が参戦するとあって要注目の一戦。一方で多頭数、しかも各馬のローテーションが多種多様とあって、「馬券は難しい」という人も多いだろう。でも、ちょっと待った。このレースでは「SmartStrikeの血」を狙うだけで意外な高配当が仕留められるかもしれないのだ。

 その最たる例が2年前の勝ち馬のRichStrikeである。SmartStrikeの3×2という濃いクロスが特徴的なKeenIce産駒。前年9月に初勝利を挙げた後は5戦連続で3着以下。さらには前走のG3でも離された3着とあって、下馬評は低かった。何より当初は除外対象だったが、直前でスクラッチする馬が出たため、滑り込みでの出走だったのだ。しかし、レースでは生涯最高の走りを見せることとなる。

 不利な大外枠、しかもスタートひと息とあって後方から。1〜2コーナーでは先頭から15馬身以上離れた後方集団だった。勝負所の3〜4コーナー。一か八か馬群に突っ込み、距離ロスを抑えて差を詰める。そして迎えた直線、内から馬群を捌きながら脚を伸ばすと、ゴール前で粘り込みを図るEpicenterを捕らえ、先頭でゴールに飛び込んだのだ。単勝オッズは81倍。これは1913年のドーンレイルの92倍に次ぐ、レース史上2番目の高額配当だった。

 もちろん、SmartStrikeの血を引く馬の好走はRichStrikeだけではない。09年にはブービー人気のMineThatBird(母の父SmartStrike)が6馬身3/4差の圧勝。19年には14番人気のCountryHouse(父の父SmartStrike)、昨年は8番人気のMage(父の父の父SmartStrike)が制している。SmartStrike自身はケンタッキーダービーに出走できず、産駒もなぜか未勝利だが、孫や曾孫の世代になると人気に関係なく走り、毎年のように高配当の主役となっているのだ。

 今年の出走予定馬のうち、SmartStrikeの血を引くのはResilience、Dornoch、WestSaratoga、HonorMarie、SocietyManの5頭だ。いずれも伏兵だが、要注目は昨年覇者のMageの全弟となるDornoch。また、SocietyManの鞍上はデットーリ騎手。00年のChinaVisit(6着)以来、24年ぶり2回目の参戦となる名手の手綱捌きに期待したい。

【近年のケンタッキーダービーにおける、Smart Strikeの血を引く主な好走馬】
17年2着Lookin At Lee(13番人気)
17年3着Battle of Midway(15番人気)
18年2着Good Magic(6番人気)
19年1着Country House(14番人気)
22年1着Rich Strike(19番人気)
23年1着Mage(8番人気)