公正取引委員会は3月19日、ヤングレディースカジュアルファッションのECサイト「GRL(グレイル)」を運営するGioに対して下請代金支払遅延等防止法(下請法)第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)の規定に違反する行為を認め、勧告を行った。

公取委によると、Gioは下請事業者に対し、下請代金の支払までの期間を短縮する代わりに「値引(1.5%)」と称して、2022年1月から2023年5月までの間、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減じていたという。減額した金額は、総額1526万9373円だった。

さらにGioは下請事業者に対し、製造を委託している商品の一部について、商品のサンプルが納期に遅延していたこと、商品に瑕疵があったことなどを理由として、商品を受領しているにもかかわらず、「委託取引」と称して、自己の顧客に商品を販売するまでその下請代金の支払を保留することにより、支払期日の経過後なお下請代金を支払っていなかったという。

下請代金の支払を保留した商品について下請代金を支払う際に、値引きとして、2022年1月から2023年6月までの間、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減じていた。減額した金額は、総額6678万2919円だった。



Gioは2024年1月31日までに、下請事業者に対し、減額した額を支払っている。

公取委はGioに対して、①株主総会の決議により、これまでの行為が下請法第4条第1項第3号の規定に違反するものであることや、今後は下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じないこと確認する ②今後、下請法第4条第1項第3号の規定に違反する行為を行うことがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講ずること ③自社の従業員や取引先下請業者に減額した金額を下請事業者に支払ったことや違反行為をしないことを周知徹底する ④勧告に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告すること――などを勧告とした。