長崎のブランド魚が約1年ぶりに“復活”です。

去年の夏、赤潮による大きな被害を受けた橘湾の養殖シマアジ。24日から県内のスーパーマーケットで販売が始まりました。

長崎市深堀町のエレナ深堀店。鮮魚コーナーには、ひときわ目立つポップが設置されました。

24日から全店で販売する「戸石ゆうこうシマアジ」です。

5年前から販売が始まった県産のブランド魚で、長崎特産のかんきつ「ゆうこう」をえさに混ぜて育てていて、臭みが少ないのが特徴です。

(エレナ深堀店 川原卓 副店長)

「待ちわびているお客さんもたくさんいるので、エレナ全店で気持ちを込めて販売したい」

長崎市、雲仙市が接する橘湾では、去年夏、海水温の上昇などの影響で大規模な「赤潮」が発生。シマアジやマダイトラフグなどの養殖魚が死にました。

県によりますと被害総額は、県内の赤潮被害としては過去最大の11億円にのぼっています。

長崎市牧島町の「昌陽水産」。当時、養殖していた13万匹ほどのシマアジは、ほぼ全滅状態に。一時は、廃業を考えざるをえない状況だったと言います。

(長野 陽司 社長)

「ブランド魚として継承していくために、魚が全部なくなって一からのスタートというのは大変」

社長の長野 陽司さんは、仲間の漁業者らの協力を得て、“復活”することを決意。

国、県、市からの補助金やクラウドファンディングによる全国からの支援を活用することで、新たに稚魚を購入し養殖場の赤潮対策も進めました。

(長野 陽司社長)

「大変だったけど、皆さんの応援があってやっとここまでこぎつけたのでうれしい」

仕入れた稚魚が出荷できる大きさまで成長するには、1年半から2年かかるため、今年、販売にこぎつけたのは約3万匹と、これまでの半数に留まります。

これまで本格的な出荷は夏後半でしたが、赤潮や台風の被害を可能な限り避けるため、今回は早い時期からの出荷、販売を計画しました。

(長野 陽司社長)

「お客さんの声を直接聞けるというのが、一番の楽しみ」

赤潮の被害から“復活”を目指すブランド魚。

24日からエレナの全店舗で販売するほか、25日は矢上店で長野社長と昌陽水産の社員らが、試食販売を行うということです。

(長野 陽司社長)

「まず、長崎から認知度を上げていって、全国、世界へという形でいければいい」