鈴木亮平(41)主演のNetflix映画「シティーハンター」が絶好調だ。4月25日に世界同時配信されると、2週連続で「日本の週間TOP10(映画)」の1位を獲得。5月1日に発表された「週間グローバルTOP10(非英語映画)」(4月22〜28日)でも初登場1位を記録して、フランス、韓国、香港、ブラジルなどを含む世界32の国と地域でも週間TOP10入りを果たした。

 原作は北条司氏で、コミックの累計発行部数は5000万部を突破。物語は、主人公で超一流のスイーパー(始末屋)である冴羽獠が、東京・新宿を拠点にして裏社会のトラブル処理を請け負う。1985年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載が開始し、87年にテレビシリーズ化がスタート。実写映画、舞台、ゲーム、パチンコにもなり、その人気は海を渡った。エンディングテーマ「Get Wild」はTM NETWORKの代表曲となり、初リリースの87年から今作まで、さまざまなバージョンが発表されている。

 昭和、平成、令和でアニメ界の最前線を走ってきた超人気作だけに、2022年12月に日本映画初の実写化が発表されたときは色めき立った。配信1カ月前にユーチューブで予告編が公開されると、Netflixの「全裸監督」(19、21年)や「サンクチュアリ-聖域-」(23年)、「イカゲーム」(21年)といった人気作が達成できなかった1000万回再生を軽く突破。海パン一丁の鈴木が鍛え上げられたボディーで「もっこりダンス」を披露するティーザー予告も追い風となり、複数の関連ワードがXでトレンド入りした。

 SNSを駆使したプロモーションは完璧だった。配信日にXでウオッチパーティー(配信者と視聴者が同時視聴)を開催すると、推定10万人が参加。エンディングソング「Get Wild Continual」に合わせて、鈴木が女性ダンスグループ・アバンギャルディとのコラボダンスをTikTokで公開すると、再生回数が1500万回を超えた。週間TOPで1位を取ったあともPRは続行。5月4日に再びウオッチパーティーを開催して、その直後に鈴木、華村あすか(25)がアフタートークライブを生配信。5月8日まではウーバーイーツとのコラボレーション企画が、テレビCMで放送されていた。

 鈴木といえば、これまで出演作によって体重を大幅に増減させてきた。転機は、2度にわたって上映された映画「HK 変態仮面」シリーズ。ほぼ全裸状態で女性のパンツをかぶるビジュアルは強烈なインパクトで、本作のために脂肪を落として15キロ増量した。15年に放送されたドラマ「天皇の料理番」(TBS系)では一変して、病に伏せる役柄。半年で20キロも減量した。その後に撮影に入った18年放送のNHK大河ドラマ「西郷どん」(NHK総合ほか)では、主人公の西郷隆盛に近づけるために74キロだった体重を3桁近くまで再び増やした。

「変態仮面」以降は映画、ドラマ、舞台の主演作をコンスタントに重ね、日本アカデミー賞を2度も受賞。22年に上映された映画「エゴイスト」では宮沢氷魚(30)とゲイのカップルを演じて、国内外の映画賞を多数獲得した。今回の「シティーハンター」のメガヒットで世界の門戸を開いたと、エンタメライターの伊藤雅奈子氏は言う。

「『全裸監督』で“伝説のAV監督”村西とおるを演じた山田孝之さんは、外国人から『全裸』や『ムラニシ』と声をかけられることが増えて、配信作品の桁違いのスケールを感じたそうです。『サンクチュアリ』の一ノ瀬ワタルさんは、現在放送中のドラマ『Believe-君にかける橋-』(テレビ朝日系)で木村拓哉さんと共演中。Netflixで当てた主人公は、確実に俳優レベルを上げています。『シティーハンター』で鈴木さんが国際派俳優に近づいたのは明白。輝かしい実績が今後、さらにアップグレードしていくでしょう」

 子どもの頃から好きだった冴羽獠に近づくために、顔の痩せ方や輪郭まで研究したという鈴木。そこには、変態パンツやもっこりという強いフレーズを上回る集積力と演技力、努力と執念がある。“世界のリョウヘイ”となるのは時間の問題だ。