【芸能界クロスロード】

 3人の元NHKアナが新しい番組の司会に就任して1カ月半、三者三様の課題が見えてきた。

 今年2月にNHKを退局。4月からフジテレビの報道番組「イット!」のMCに就任した青井実(43)。フジの期待を一身に受け夕方のニュース戦線に切り込んだが、最近は4%を割るなど視聴率は下落気味。日本テレビ・テレビ朝日・TBSに次ぐ4番手と定位置からの脱出ならずにいる。

「定時のニュースは視聴習慣が顕著に出る。よほどの大物でない限り司会者の名前でニュースを見る人は少ない。青井の名前では無理があった。フジはその判断が甘かったと思う」(テレビ関係者)

 課題すらも見つからないのが現状だろうか。

 TBSの人気番組「サンデーモーニング」を36年にわたり司会を務めた関口宏が高齢もあり3月に勇退。代わって司会者に就いたのがキャスターの膳場貴子(49)だった。

 膳場は東大からNHKに入局。朝のニュース番組などを担当していたが、さほど目立つ存在ではなかった。在籍9年で退局。その後TBSと専属契約を結んだ。筑紫哲也の「NEWS23」のサブを経て今年の3月まで「報道特集」のキャスターを務めていた。「キャスターはタレントとは違う」が信念という膳場。私生活を自ら語ることはない。わかっていることは2度の離婚歴。現在、3人目の夫との間に子供がいることくらい。画面からは生活感を感じることはなく、ママになった今も、キャスターとしての存在感は十分。

 4月から引き継いだ日曜朝の人気番組も、「安心できる最適な人と起用したのが膳場。TBSも切り札を送り込んだ以上、数字を落とせない」(テレビ関係者)。

 視聴者も「知的な美人を日曜朝から見られる」と喜ぶ男性諸氏や、「大丈夫?」と違和感を持つ婦人もいた。不安と期待の入り交じったスタートも、関口時代に築いた高視聴率を維持できている。まずは合格点だが、課題も見えてきた。膳場の苦手としている番組名物のスポーツコーナー。張本勲・大沢(啓二)親分がつくり上げた「喝」「あっぱれ」の掛け声も膳場に荷は重いのか、戸惑っている様子。サブがサポートしているとはいえ、キャスターとコメンテーターとの丁々発止──で人気のあったコーナー。「膳場さん面白い」と別な一面を見せるくらいになれば、番組と共に膳場人気も上がると思うが。

「サンモニ」の司会にもっとも適任だと思う有働由美子(55)は日テレの夜のニュースから新たに立ち上げた音楽番組「with MUSIC」の司会者に就いた。「静」の膳場に対し「動」の有働らしい選択だが、思いのほか視聴率は伸び悩んでいる。

 髪を染めショートヘアにイメチェンした有働と松下洸平のコンビでゲスト歌手とのトークも交えた新たな音楽番組。特番では日米首脳会談の晩さん会に招待されたユニット“YOASOBI”や大泉洋、福山雅治と豪華ゲストを呼び好評を博し、レギュラー化された初回のゲスト・宇多田ヒカルと有働の対話も興味深かったが、前番組「世界一受けたい授業」よりも数字を落とした。

 歌番組が視聴率を上げるのは難しい時代。有働の名前とトーク力でテレビ出演のない中島みゆきや小田和正ら大物を呼ぶか、若手歌手でコア視聴者をターゲットに安定視聴率を狙うか、今後の課題になりそうだ。

(二田一比古/ジャーナリスト)