ノートパソコンとWi-Fi環境があれば、いつでもどこでも仕事ができる昨今、職場以外のワークスペースとして重宝されているのがカフェチェーンだと思います。みなさんにもお気に入りのチェーンや相性のいい店舗が1つや2つあると思います。食の専門家として食トレンド、スーパーマーケットやダイエットフード、食育などの情報を日々発信している筆者も、年に100回以上はカフェで仕事をしています。

 仕事に適したカフェチェーンといってまず思い浮かぶのが、全国に1901店を展開するスターバックスコーヒーではないでしょうか。どの店舗に行っても一定のクオリティを保っていて、カフェ業態で日本一の店舗数を誇るだけあって使い勝手がよく、ドリップコーヒーをはじめドリンクを楽しむ人のほか、仕事や勉強に励む人が非常に多いように思います。ただ、せっかく店に入ったのに、混雑していて電源がない席やテーブルが低いソファ席しか空いていないと、がっかりしてしまうことも少なくありません。

 スタバマニアとして記事を書くことが少なくない私が〝食事のおいしさ〟“コスパ”や“居心地のよさ”といった視点で、スタバ以外のコメダ珈琲店、マクドナルド、ドトールコーヒーショップの3つのチェーンの魅力に迫っていきたいと思います。

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①コメダ珈琲店

■モチベーションが上がる仕掛けいっぱい!難点は割高感と時間制

 コメダ珈琲といえば、名古屋のモーニング文化を全国に広げた立役者。実はコメダの9割以上がフランチャイズの店舗で、「街のリビングルーム」というコンセプトを掲げ、誰もがくつろげる空間とサービスを提供しています。

 今や全国に968店舗展開しているコメダの特徴は居心地の良さで、疲れにくいソファーや椅子、広めのテーブル、ほどよい明るさの照明は仕事をする上でストレスレスな環境と言えます。

 Wi-Fiはメールアドレスを登録すれば1年間有効なので、後日コメダを訪れた際、接続はスムーズです。1回の接続時間は60分で、1日の利用回数は無制限。Wi-Fi環境はもちろんのこと、ほとんどの店舗で各テーブルに電源が備えられています。さらに、他のチェーンのようにフリーアドレスではなく、座席が指定されるので混雑時は待たされますが、座れないということはありません。

 特筆すべきが、フードやドリンク。メニューの写真より実物の方が大きい〝逆詐欺写真〟と呼ばれるボリュームたっぷりな料理やスイーツ、昭和レトロなドリンク類は、仕事のモチベーションを高めてくれる十分なパワーを持っています。名物メニューのシロノワール(730〜790円 ※価格は店舗によって異なる、以下同)以外にも、ここでしか食べられない魅力的なフードがたくさんあります。また冷たいドリンクのクオリティーが高く、中でもプレミアムコーヒーSophia(560〜800円)は銅製のマグカップに注がれた超本格派の一杯。ここぞという時に注文するのが賢明でしょう。

 デメリットは1回の出費が大きく、食事をするとお会計が2000円近くに達することも。さらに店舗によっては、混雑時に90分の利用制限が設けられているので要注意です。使用頻度を考えながら、ご褒美的に賢く使いこなすのがオススメです。

【リモートワークにオススメのメニュー】
たっぷりたまごのピザトースト(790〜870円)、カツパン(910〜1000円)、クロネージュ(570〜640円)、プレミアムコーヒー Sophia、クリームソーダ(580〜820円)、コーヒーシェーク(550〜790円)

マックは長時間滞在には向いていないが…

②マクドナルド

■スタバをはるかに超える店舗数。騒々しさや隣との席の近さは長時間滞在に不向き?

 全国約3000店舗を展開するハンバーガーチェーンのマクドナルド。ハンバーガーを食べながらノートパソコンを開いている人をよく見かけるように、最近はマックをワークスペースとして利用するお客さんが非常に多い印象です。

 しかしながら、テーブルや席など、環境が仕事向きとは言いづらい店舗もあります。コメダ同様、メールアドレスなどを登録すれば1回60分利用できるWi-Fiが接続しづらいという声があるほか、新しい店舗でも電源が備え付けられている席が少ないなど、他のカフェチェーンに比べて仕事環境として少し乏しめな印象です。

 隣の席と距離が近くテーブルの面積もやや小さめの場合も多く、子供連れが多いため、騒がしいのが苦手な方や仕事のしやすさを重視するなら、比較的空いている早朝を狙うのがオススメ。おおむね早朝から深夜まで営業している店舗が多く、コーヒー1杯120円からと価格がリーズナブルな点がカフェチェーンを圧倒していますが、基本的に長時間滞在には向いていないように思います。

 そこでオススメなのが、マクドナルドのカフェ業態であるマックカフェです。店舗数はマック単体店の1/10程度ですが、マックよりも騒々しくなくカフェモードな雰囲気が漂います。そして嬉しいのが、メニューです。通常のマックとはフードはもちろん、ドリンクも大きく異なり、注文を受けてから専任バリスタが作る本格的なドリンクは、スタバよりも手頃に味わうことができます。オススメは、オレオ® クッキー ロールケーキ(450円〜)やフラットホワイト(Sサイズ250円〜、Mサイズ290円〜 ※オーストラリアやニュージーランド発祥のミルク多めで作られるスムースな口当たりのコーヒー)です。

 おしゃれなカフェメニューをコスパよく楽しみながら、必要に応じて通常のマックのハンバーガーと組み合わせることも可能です(マックとの併設店の場合)。

【リモートワークにオススメのメニュー】
マシュマロクリームタルト(450円〜)、オレオ® クッキー ロールケーキ、あずきみるくフラッペ(490円〜)、フラットホワイト、アイスオレンジフレーバーラテ(Mサイズ340円〜、Lサイズ380円〜)

ドトールは新旧店舗で環境に差が

③ドトールコーヒーショップ

■新しい店舗は電源環境も良好で、名物フードも食べやすい

 ドトールはタバコが吸える数少ないカフェであり、老若男女に愛されていますが、昨今は男性ビジネスマンの比率が多いのが特徴です。エリアによりますが店の雰囲気は比較的静かで、新しくできた店舗を中心に電源環境が整っているのもポイントです。

 なにより嬉しいのが、ブレンドコーヒーが1杯250円から味わえる点。フード類もスタバよりも安く、日本人好みのテーイストやボリュームで作られていて良心的です。名物は生ハムやボンレスハム、ボローニャソーセージを挟んだミラノサンドA(490円)やミルクレープ(400円)。軽食として十分なメニューがそろっています。

 都心の店舗を訪れると、リモートワークをしているサラリーマンらしき人をたくさん見受けられます。デメリットを指摘すると、古くからある店舗の場合、電源がなかったり、椅子やテーブルが小さめだったりする点でしょうか。

 ドトールのサイトで、Wi-Fi、電源、全面禁煙、完全分煙対応の店舗が検索できるので、適した店舗を探すことをお勧めします。スタバ以上に根強いファンを持つ、実力派カフェと言えるでしょう。

【リモートワークにオススメのメニュー】
ミラノサンドA、ミルクレープ、北海道産かぼちゃのタルト(440円)、マスカットヨーグルン 〜長野県産シャインマスカット〜(S490円、M540円、L590円)、アイス沖縄黒糖ラテ(S430円、M480円、L530円)、ブレンドコーヒー

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▽スギアカツキ 食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。在院中に方針転換、研究の世界から飛び出し、独自で長寿食・健康食の研究を始める。食に関する企業へのコンサルティングの他、TV、ラジオ、雑誌、ウェブなどで活躍中。https:/twitter.com/akatsukinohana