シナリオありきの「やらせ懇談会」だったとは呆れるしかない。

 伊藤信太郎環境相(71)が熊本県水俣市で水俣病の被害者団体と懇談した際、同席した環境省職員が団体側のマイクの音を切り発言を遮った問題。環境省は9日、懇談会で使用していた台本を公表。「3分でマイクオフ」と明記されていたことが分かった。

 台本には団体側が発言し始め、制限時間の3分が近づいた場合、司会が「申し訳ありませんが、他の団体様のお時間もございますので手短にお願いします」と伝えて、「3分でマイクオフ」とマイクの音を切ることが示されていた。さらに団体側から3分では短いなどと言われた場合は「時間を見つつ対応させてください」と切り返すよう書かれていた。

 この問題で伊藤大臣が団体側に謝罪する展開となったが、それだけでは済まないのではないか。なぜなら、環境省は組織の総意として、最初から団体側の発言を制限しようとする“悪意”が透けて見えるからだ。

■ガス抜き会見が失敗して大爆発

 水俣病を巡っては最高裁が2004年、国や県がチッソに対し必要な規制をせず、被害を拡大した責任を認める判決を下している。認定されない患者らによる訴訟は今もなお続いていて、高齢化とともに「生きているうちに救済策を」と求める声が少なくない。

「公害の原点」と言われる水俣病に対し、真っ先に向き合う必要がある環境省が、よりによって台本を作って「聞くフリ」をしていたとは言語道断。職員らは毎年行われている懇談を単なる“ガス抜き”の場と捉えていたに等しいのではないか。

 さらに許されないのは伊藤大臣だ。組織のトップとして「3分でマイクオフ」の台本の存在について、知らなかったはずがないからだ。にもかかわらず、懇談の場ではうなずきながら、これまた「聞くフリ」。揚げ句、当初は「マイクを切った認識はない」などと釈明していたから、「ヘタな猿芝居」にも程があるだろう。

《伊藤大臣も環境省の職員も、団体側がコメントしている間、「あと2分、あと30秒」などとカウントダウンしていたんだな》

《シナリオありきのガス抜き会見が失敗して大爆発。笑えない》

 SNS上では伊藤大臣や環境省の対応を批判する意見が少なくない。