独ブンデスリーガ1部フランクフルトに所属する元日本代表MFの長谷部誠(40)が、現地17日に現役引退を表明した。

 静岡・藤枝東高から2002年に浦和に入団し、07-08年シーズン途中から独1部に移籍して18年が経過。プロ通算22年、フランクフルトで10シーズン目となる今季、残り5試合での決断だった。

 22年に「27年6月までの5年契約」を結び、期間中に引退しても「コーチとしてクラブにとどまる」ことが既定路線。ドイツサッカー連盟(DFB)公認B級ライセンスを取得済みで、来季はドイツ4部(相当)に所属するフランクフルトU-21チームでコーチを務めるともっぱらだ。

「引退会見で『第二の故郷・ドイツに長く滞在するだろう。(最上位ライセンスの公認)S級も取得したい』と話していたが、まずはフランクフルトの監督として独1部で結果を残し、それからスペインやイングランドの強豪クラブで采配を振りたいと考えているようだ」(サッカー関係者)

 独1部で通算383試合出場。21-22年シーズンのELを制覇した。代表歴12年半で8年間主将を務め、10年南ア、14年ブラジル、18年ロシアのW杯に連続出場。2度の16強入りの立役者となった。11年には自己啓発書「心を整える。」を出版して160万部の大ベストセラー。印税1億6000万円は、同年に起きた東日本大震災の被災地にすべて寄付した。

■ジャパン復帰待望論も

 もちろん日本サイドも長谷部にラブコールを送っている。昨18日、JFAの宮本恒靖会長が「指導者としてのキャリアを(ドイツで)極め、日本サッカーの発展にもぜひ貢献して欲しい」とコメント。ドイツで結果を残した後、たとえば古巣・浦和の指揮官として実績を挙げ、ゆくゆくは日本代表を率いてW杯で存分に手腕を発揮して欲しい──という声はサッカー界に根強い。

「しかし、長谷部ジャパン実現の可能性は低いでしょう。長谷部には欧州各国で実績を残し、将来的にドイツ代表監督としてW杯で優勝するという野望があるのです。サッカー大国・ドイツは1923年にオットー・ネルツが初代の代表監督に就いて以来、すべてドイツ人が指揮を執っている。もし長谷部がドイツ代表の史上初の外国人監督に就任したら、これは世界を揺るがす大事件となる。それくらい長谷部は、ドイツでのキャリアを重視しているのです」とは前出の関係者だ。