<ドジャース11−2ブレーブス>◇4日(日本時間5日)◇ドジャースタジアム

【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)4日(日本時間5日)=久保賢吾、斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が、今季8号ソロを放ち、沖縄生まれのデーブ・ロバーツ監督(51)を超える日本生まれの選手の球団最多本塁打記録を刻んだ。2点リードの3回無死、ブレーブス・エルダーから自身6試合ぶりのアーチ。メモリアルな1発を祝福するように、3安打2打点の活躍で3連勝に貢献した。試合後の会見にはロバーツ監督が大谷から贈られた“車”を手にサプライズで乱入し、爆笑を誘った。

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互いにリスペクトしながらも気を使いすぎることなく、ジョークで思い切り笑い合う。そんな関係が大谷とロバーツ監督から感じ取れる。

日本人最多の通算176号を放った4月21日、ロバーツ監督は「彼は『次はあなたを抜きます』と言っていたよ」とニヤリ。7号をマークした時には大谷が「『並んだぞ』って僕の方から言いましたけど」と、うれしそうに明かした。思い返せば、大谷の独特の高笑いと同監督の豪快な笑い方は、どこか似ている。

もちろんそれだけではない。4月初旬、開幕から40打席ノーアーチで苦しむ大谷を救ったのも指揮官の言葉だった。「Be Yourself(自分らしく)」。具体的にはどういう意味だったのか、同監督は「ただ打てるボールを辛抱して待てばいい、と。低めと体から遠いゾーンを振らないように」と明かした。シンプルに好球必打が大谷の“らしさ”。そして、本来の姿が徐々に戻ってきた。

得点圏打率が低く、初球のボール球に手を出していた際は、遠慮なく助言した。逆に適時打を放てば大谷の胸に手を当て、正しい方向にいると念を押した。時に笑いを交え、真正面から向き合い、意見交換を行う。その繰り返しで、互いに信頼関係を築いてきた。

相手が記者であろうと変わらない。先日、同監督に名刺を渡すとがっちり握手で立ち止まってくれた。質問を聞き、腕を組んでうなずき、答えをくれた。最後は笑顔で、名前に丁寧に「さん」をつけて「サンキュー!」と再び強く握手。実に爽快だった。潔く、堂々と−。チーム内にも明るい雰囲気が漂う。リーダーシップに定評があるロバーツ監督とともに、大谷は楽しく野球ができている。【MLB担当=斎藤庸裕】