<プロボクシング:LifeTimeBoxingFights20大会>◇17日◇東京・後楽園ホール

体重超過したアマ13冠で前東洋太平洋フェザー級王者の堤駿斗(24=志成)が、元世界王者を3回KOで下した。12度の防衛を誇った元WBA世界バンタム級スーパー王者アンセルモ・モレノ(38=パナマ)とのフェザー級10回戦に臨み、3回に2度のダウンを奪って同回2分45秒、KO勝ちを収めた。前日計量では1・6キロの体重超過でフェザー級リミットを守れず。相手陣営との協議で、試合当日10時の計量で設定された61・12キロをパスし、試合が成立していた。

堤は「今日は自分のために調整してくださったモレノ選手、陣営の方、申し訳ありませんでした。会場にお越しくださったファンのみなさま、ボクシングファンのみなさま申し訳ございません。ボクシングという競技を汚してしまった。人として未熟で成長しないといけない。申し訳ありませんでした。今日は何も言う資格はない、またリングに戻ってくれるように精進します」と深く謝罪した。

昨年大みそかにルイス・モンシオン・ベンチャーラ(ドミニカ共和国)との世界ランカー対決を3回TKOで勝利して以来、約4カ月ぶりのリングだった。前回はプロ初のKO勝利を収め、今回は元世界王者との対決に向け、ボクシングの本場となる米ラスベガスでスパーリング合宿を積むなど調整を続けていたが、同合宿最終日に高熱を出した。帰国後すぐに検査を受けると新型コロナウイルス感染と診断。1週間の隔離期間を置いて練習再開しようとしたが、後遺症で肺に痛みが続いてジムワークができなかったという。

食事を取らず、水分だけで生活し、自転車型トレーニング器具などで汗を出し「体重のことしか考えられない状態」で減量に集中していた。昨年10月に1度、インフルエンザ感染でメインイベントを中止にした責任感も胸にあり「呼吸も苦しく、医師には治るのに1カ月はかかるので、試合は止めた方がいいと言われていたが、2度目(のメイン中止)はまずいだろうと。中止にするのは難しいと思った。それも全部、言い訳です」と厳しい表情を浮かべた。

もともとフェザー級への減量は苦しい状況だった。日本ボクシングコミッションの規定では体重超過も試合成立の場合は6カ月間の出場停止処分となる。堤は「今回の反省を思えばフェザー級ではやるのは…。変えざるを得ないかもしれない。人として成長して、また一から失った信頼だったりと少しずつ取り戻し、胸を張ってリングに上がれるように精進したい」と唇をかんだ。