<東京女子プロレス>◇6日◇後楽園ホール

「王者食い」は次回に持ち越しとなった。初ベルトに挑戦した「大食いレスラー」上原わかなが、プリンセスタッグ王座に挑戦するも、終盤に力尽き、初のベルトはお預けとなった。パートナーのHIMAWARIとのタッグで挑んだが、鈴芽、遠藤有栖組に惜敗。試合後は涙が止まらず「HIMAWARIとなら絶対にベルトを取れると思っていたので本当に悔しい」と語った。結成わずか数週間の「即席タッグ」ではあったが、中盤まで試合の主導権を握り、王者をあと一歩のところまで追い詰めた。

練習と研究の成果を存分に発揮した。遠藤のキャメルクラッチに苦しみながらも体を入れ換えて丸め込み、相手の連係技を読み切ってかわし、誤爆を誘うなど王者に引けを取らない戦いぶりで会場を沸かせた。連係技、合体技もしっかり決めたが、3カウントだけが奪えず。最後はHIMAWARIが遠藤の逆襲に遭い、悲願のベルトがするりと逃げていった。

試合後に王者に駆け寄られ、健闘をたたえられると、涙があふれた。デビュー前の夢プロレス当時から練習相手になってくれた遠藤相手に、力強いエルボーや高さのあるドロップキックを決めるなど成長した証を見せた。舞台女優、タレントの忙しさを言い訳にせず大好きな「食」の時間を削ってトレーニングに励んできた。プロレスの試合を見るにつれ、やるだけでは満足できず「ベルトが欲しい」と発言するようになった。大食いレスラーらしく「王者を食いつぶす」と挑んだが、その夢は持ち越しとなった。

夢プロレスの仲間や「ねくじぇねトーナメント」の同士たちの思いも背負って戦った。アイドルからプロレスラーになって「素が出せるし殻を破れた感じ。怖いものがあまりなくなった」。アイドルでは「大勢の中の1人」と語っていた上原。セコンドに付いているときにしか持ったことのないベルト。敗れはしたものの、主人公となる日は確実に近づいた。「絶対ベルトを取るまで諦めない」。挑戦はまだ始まったばかりだ。