【ドーハ22日(日本時間23日)=佐藤成】パリ五輪アジア最終予選を兼ねるU−23アジア杯カタール大会で1次リーグ2位通過となった日本は、B組の全3戦でアタッカー陣が不発に終わった。

ここまでの計3得点はボランチ2人とDF。今大会初の失点を許して0−1で敗れた第3戦の韓国戦では仕留め切れなかっただけに、敗れればパリへの道が断たれる25日の準々決勝カタール戦へ、細谷真大(22=柏)らFWと攻撃的MFの奮起が不可欠となる。

  ◇  ◇  ◇

決定力不足が、永遠のライバル相手に浮き彫りとなった。前半は「ステーションパス」とMF松木が表現したように、等間隔の各駅に停車するように、決まったレールをなぞるように、守備ブロックの周りで消極的なパスに終始。主力を次々投入した終盤は攻勢も、決め切れない。MF佐藤は「自分が決め切れば勝てた試合。ふがいない」と決定機を外し、うなだれた。日の丸の10番や8大会連続の五輪切符が懸かる重圧から「気持ちの空回りを感じている」という。「ゴール前の落ち着き、余裕をもっと持てたら」と絞り出した。

エースも不発が続く。細谷は3カ月前にA代表のアジア杯を飛び級で経験したが、本来の世代で違いを見せられず。クラブを含め今季まだノーゴールだ。佐藤と同じく2戦連続で絶好機を逸し「UAE戦で出た課題をそのまま韓国戦でもやってしまった。自分を信じてやりたい」と懸命に言い聞かせている状態だった。

大岩監督も「チャンスはたくさんつくっている」と強調しつつ、スイッチを探っていた。カタールとの正念場へ「自信を持って足を振る、飛び込む。相手との駆け引きなど状況判断で背中を押せるようアプローチしたい」。短期決戦、精神面の改善に活路を求めた。

収穫は、守備陣の高い集中力。中国戦は前半17分から10人で無失点。五輪最終予選では28年ぶりの韓国戦黒星を喫したものの、全3戦でセットプレーの1失点だけにとどめた。あとは攻撃陣の爆発を待つ。細谷は「チームを乗らせる意味でも自分が点を取らないといけない」と自覚を込めた。

負ければパリ消滅の準々決勝。連続五輪を8大会に伸ばすか、まさかの7大会で途切らすか。MF山本には前者しか見えない。「出場権を取って、この1敗でチームがまとまったね、この集団が強くなったよね、という話を後日できるようにしたい」。ドーハの教訓を完全アウェーで生かす。

韓国ファン・ソンホン監督(5バックの奇策で競り勝ち)「日本戦は重圧のかかるもの。私にとっても例外ではない。ただ、大会の中のあくまで1試合だと考えて、ベストを尽くした」