中学バレーボール界ナンバーワンアタッカーの呼び声が高い大分・稙田南(わさだみなみ)中3年の忠願寺莉桜(ちゅうがんじ・りおん)が2日、同校の卒業式に出席し、今春進学する大分・東九州龍谷高での目標に「姉妹での日本一」を掲げた。

 身長182センチの忠願寺は左利きの特性を生かしたオポジットで、硬軟自在に打ち分けるスパイクが魅力。サウスポーアタッカーとしての潜在能力やポテンシャルの高さから、将来の姿を東九州龍谷高出身の長岡望悠(久光スプリングス)に重ねる関係者も多い。

代表のキャプテン、得られるものがたくさん

 中学時代は年代別日本代表の得点源としても活躍。2023年7月の「第1回アジアU16女子選手権大会」では優勝に貢献し、大分県選抜を準優勝に導いた同年12月の「全国都道府県対抗中学大会」では女子の最優秀選手に選ばれた。全国中学生選抜メンバーで臨んだ2月の国際大会(イタリア)ではキャプテンを務め、東欧のチームなどを倒して頂点に立ち、MVPに輝いた。

 「一人一人が最高のパフォーマンスを出せる声がけや雰囲気づくりを意識しました。代表のキャプテンをさせていただいたからこそ得られるものがたくさんあって、それが今後のバレー人生につながっていくのだと思うと、すごくワクワクした気持ちになりました」

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 期待に胸をふくらませて入学する東九州龍谷高は通称「東龍(とうりゅう)」と呼ばれる高校バレー界の強豪。年明けの全日本高校選手権(春高バレー)では優勝した岡山・就実高に初戦で敗れる悔しさを味わった。巻き返しを期す新チームは忠願寺の2学年上の姉でミドルブロッカーの風來(かえら)がキャプテンに就任。通算12回の全国制覇を誇る相原昇監督(55)が「サイズは歴代で一番小さいが、全員にリベロの意識がある。とにかくボールを拾って、つなぐチーム」と評する粘り強さを発揮し、2月の全九州選抜高校大会を制した。

「私も常に謙虚さと素直さを忘れずに」

 「お姉ちゃんが(4月から)3年生なので、同じコートに立てる最後の一年になります。たくさん努力をして、お姉ちゃんとともに日本一の舞台に立ちたいです」。今夏の全国高校総体(インターハイ)のバレーボール競技は、学校所在地の大分県中津市がメイン会場。全国デビューを果たすにはこれ以上ない舞台だ。

 中学では多くのタイトルを手にした。そんな忠願寺が大切にしてきたのは、稙田南中バレー部の同級生と過ごした時間だった。中でも小学1年で競技を始めた「東大分ジュニア」時代からの親友、仁礼木杏(にれき・あん)さんは控えセッターながら、こつこつと練習を重ねて、レギュラーがけがで急きょ出られなくなった試合で代わりを務めた。中学でバレーに一区切りをつける仁礼木さんとは卒業式後、記念のツーショット写真に納まった。「私も常に謙虚さと素直さを忘れずに頑張っていきたい」。新たな誓いを立てた15歳。無限の可能性を秘めた逸材が高校生活の「第1セット」から果敢に日本一へアタックする。(西口憲一)

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好物は「海鮮あんかけ」と「赤から鍋」

 忠願寺莉桜(ちゅうがんじ・りおん)2008年8月24日生まれ。大分市出身。ポジションはアウトサイドヒッターとオポジット。同市の舞鶴小1年から「東大分ジュニア」でバレーボールを始める。大分県選抜で出場した22年の全国都道府県対抗中学大会では2年生で唯一の優秀選手(12人)に選出され、23年2月に実施された全国中学生選抜メンバーによる海外遠征(イタリア)に参加。身長182センチ。最高到達点はスパイク295センチ、ブロック275センチ。母真麻さん(41)の手料理で好きなメニューは「海鮮あんかけ」と「赤から鍋」。バレーボール一家に育ち、父貴博さん(43)は大分工高出身で、Vリーグ男子の「大分三好ヴァイセアドラー」の前身チーム「三好循環器科EKG」でプレーしていた。妹の陽茉(ひまり)さんも、父が指導する中学生女子のバレーボールクラブチーム「Vigare(ヴィガーレ)大分」で活動しており、アタッカーながらレシーブ力にも定評がある。チームは全員1年生で、23年6月の大分県中学生選手権大会では初出場で8強入りを果たした。