◆体操 NHK杯(16日、群馬・高崎アリーナ)

 7月に開幕するパリ五輪の代表最終選考会を兼ねて女子の予選が行われ、2016年リオデジャネイロ五輪からの3大会連続出場を目指す杉原愛子(TRyAS)は158.461点で5位となった。4月の全日本選手権の得点を持ち点に争われ、上位4人とチーム貢献度で1人が代表に決まる今大会。確実な五輪圏内まで1.536点として、18日の決勝に挑む。

 杉原は「きょうは4種目をミスなくやることを課題としていたがクリアできずに悔しい」と開口一番振り返る。段違い平行棒で落下してしまい一時は6位に後退。「やってもうたな…」。それでも百戦錬磨の実力者は崩れない。「ある意味吹っ切れた」と、その後は粘りの粘りの演技でつないで上位をキープした。

 21年の東京五輪を終えた後、1度は第一線から退いた。指導者や審判のほか、テレビではリポーターとして客観的に体操を見つめた。愛する競技の普及促進のためにSNSで積極的に発信するなど精力的に活動する傍ら、競技者としての闘志も再燃。実績十分の24歳の実力者は本格復帰して、パリ五輪の出場権を射程圏内に捉えている。

 目標はぶれない。上位4人に与えられる個人総合での出場権だ。「諦めていない。私の気持ちとしては個人総合で入りたい気持ちが強い」と言い切る。その上で「逆に点数を気にせずにいこうかなと。今まで人事を尽くして練習してきたので。体操を楽しみながら、楽しさをファンの方や体操を知らない方にもお伝えできたらいい。全日本でも楽しむことでいい結果がついてくると思った」と言う。極限の緊張感に包まれる選考会の大詰めも、笑顔で戦い抜く。

 首位は3連覇と初代表を狙う宮田笙子(順大)が162.863点。2位は岸里奈(戸田市SC)で161.361点、3位は岡村真(相好ク)で160.229点、4位は中村遥香(なんばク)で159.997点。

 体操のパリ五輪代表選考は男女ともに5人。女子は4月の全日本選手権の得点を持ち点に争われるNHK杯の上位4人と、チーム貢献度で1人が代表に決まる。チーム貢献度は種目別で強いスペシャリストが有利となり、個人総合で選出された選手とチームを組んだ場合に、団体総合の得点が最も高くなる選手を選ぶ。

 男子は昨年の世界選手権で個人総合2連覇の橋本が既に決定済みで、NHK杯で上位2人を選出。残り2人はチーム貢献度で決まる。男子の1人はNHK杯10位以内が条件となる。