開幕が近づき、NPBが今年のロースターを発表している。3月26日に最新の発表があった。恒例だが、今季のプロ野球選手の「身体測定」をしてみよう。

選手数はトータルで1000人を超えている

〈1.選手数〉

 今季のプロ野球選手はこの時点で1035人だ。昨年初めて1000人を超えたのだが、さらに20人増えている。昨年の開幕時点との、各球団、リーグ別、支配下、育成別の数字の増減を見てみよう。

◆セ・リーグ・500人/支396人(6人)育104人(7人)
 阪神・74人/支65人(-3人)育9人(4人)
 広島・80人/支68人(1人)育12人(3人)
 DeNA・83人/支65人(1人)育18人(2人)
 巨人・104人/支65人(5人)育39人(-6人)
 ヤクルト・74人/支66人(0人)育8人(-1人)
 中日・85人/支67人(2人)育18人(5人)

◆パ・リーグ・535人/支391人(-8人)育143人(15人)
 オリックス・83人/支66人(3人)育17人(-2人)
 ロッテ・84人/支66人(-2人)育18人(5人)
 ソフトバンク・119人/支65人(-2人)育54人(0人)
 楽天・76人/支64人(-3人)育12人(-3人)
 西武・89人/支64人(-2人)育25人(9人)
 日本ハム・83人/支66人(-2人)育17人(5人)

●NPB・1032人/支787人(-2人)育247人(21人)

 26日に巨人の新外国人だったオドーアが電撃退団しているが、3月26日時点ではロースターに載っているのでそのままとする。支配下選手は787人と2人減って、育成が21人増えている。

 ご存じのように支配下選手枠は各球団70人まで。しかし球団は現時点で2〜6人の枠を余らせている。ここに育成から選手が昇格するのだ。シーズンが始まれば、育成選手は減少し、支配下選手が増えることになる。

 セ・リーグは支配下選手が394人、育成104人、パ・リーグは支配下383人、育成152人。育成選手はパ・リーグのほうが48人も多い。

育成が多い巨人とホークス…最年長選手は?

 例年通り、育成選手数はソフトバンクと巨人が1、2位だが、ソフトバンクが昨年と同じ54人なのに対し巨人は6人減って39人。西武が25人と9人増え、中日も5人増えて18人、オリックスが2人減って17人。この傾向が続けば、育成選手数2位の座が変わるかもしれない。育成選手の増減は球団の経営状況や、育成方針の変化を反映しているのだろう。

〈2.年齢〉
◆今季ロースターの高齢現役選手10傑 ※カッコ内は(生年月日)。年齢は4月1日時点
 石川雅規(ヤ)44歳2カ月(1980.01.22)投手
 和田毅(SB)43歳1カ月(1981.02.21)投手
 青木宣親(ヤ)42歳2カ月(1982.01.05)外野手
 中島宏之(中)41歳8カ月(1982.07.31)内野手
 比嘉幹貴(オ)41歳3カ月(1982.12.07)投手
 中村剛也(西)40歳7カ月(1983.08.15)内野手
 栗山巧(西)40歳6カ月(1983.09.03)外野手
 平野佳寿(オ)40歳0カ月(1984.03.08)投手
 岸孝之(楽)39歳3カ月(1984.12.04)投手
 長野久義(巨)39歳3カ月(1984.12.06)外野手

 ヤクルトの石川雅規は2022年に福留孝介(中)、能見篤史(オ)と1970年代生まれの最後の2人が引退してから最年長選手になったが、今季も現役。あと15勝に迫った通算200勝に引き続き挑む。ソフトバンクの和田毅は昨年に続き「最後の松坂世代」。上位2人は左腕の先発投手である。

 ヤクルトの青木宣親は一時期、NPB通算最高打率だった。現在も打率.315で現役では1位をキープしている。通算1929安打。MLBで774安打しているが、NPB単独での2000本安打を目指す。続く中島宏之は青木と1本差の通算1928安打。今季から中日だがあと72本はかなり厳しいだろう。

 6位の西武・中村剛也は昨年NPB史上初の「2000三振」を記録。通算471本塁打だがあと6本塁打を打つと金本知憲を抜いて歴代10位にランクインする。

 7位は中村の僚友である栗山巧。選手ではないが、その間に今年から楽天監督の今江敏晃(1983.08.26)が入ってくる。今年の12球団監督では今江監督がとびぬけて若い。40代の現役選手は8人、昨年は6人だったから2人増えた。

ソフトバンクには「16〜17歳」の育成選手が

◆若年選手10傑
 アルモンテ(SB)16歳3カ月(2007.12.02)内野手/育
 オスーナ(SB)17歳0カ月(2007.03.27)外野手/育
 鈴木叶(ヤ)18歳0カ月(2006.03.21)捕手
 大内誠弥(楽)18歳0カ月(2006.03.09)投手
 成田晴風(西)18歳1カ月(2006.02.27)投手
 高見澤郁魅(De)18歳2カ月(2006.01.18)内野手/育
 加藤大和(日)18歳2カ月(2006.01.12)投手/育
 藤原大翔(SB)18歳3カ月(2005.12.26)投手/育
 松石信八(ロ)18歳3カ月(2005.12.18)内野手/育
 濵田泰希(日)18歳4カ月(2005.11.28)内野手/育
 サルディ(SB)18歳4カ月(2005.11.12)投手/育

 ソフトバンクの2人はともにドミニカ共和国出身。デービッド・アルモンテは、今季育成契約を結んだ。ホセ・オスーナは、アトランタ・ブレーブスのスラッガーのマルセル・オスーナの従弟。一昨年12月に15歳9カ月でソフトバンクと育成契約した。

 以下の選手は、キューバ出身の育成投手ダリオ・サルディを除き、昨年のドラフト、育成ドラフトで入団した高卒選手だ。2年目のオスーナも含め、二軍戦も含めて試合出場記録はない。

最も長身なのは200cmの秋広。では2位以降は?

◆高身長10傑
 秋広優人(巨)200cm 内野手
 スチュワート・ジュニア(SB)198cm 投手
 ハーン(広)198cm 投手
 ポンセ(楽)198cm 投手
 マルティネス(De)198cm 投手/育
 ガルシア(西)198cm 外野手/育
 バーヘイゲン(日)198cm 投手
 村田怜音(西)196cm 内野手
 アドゥワ誠(広)196cm 投手
 ラモス(巨)196cm 投手/育

 巨人の秋広は、日本人選手としてはチームの大先輩、馬場正平(ジャイアント馬場)に次ぐ史上2人目の2m選手。昨年、これも巨人で同じ200cmで秋広と並んでいた阿部剣友は昨年限りで退団した。2位は今季こそローテーション定着が期待されるソフトバンクのスチュワート・ジュニア、広島の新外国人左腕投手テイラー・ハーン、今季日本ハムから楽天に移籍した投手のコディ・ポンセ、日本ハムのドリュー・バーヘイゲンと外国人投手が並ぶ。

 190cm以上の選手は全選手の9%の94人、今年の全選手の平均身長は180.78cm、昨年の190cm以上の選手は86人、平均身長は180.61cmだった。

◆低身長10傑
 滝澤夏央(西)164cm 内野手
 田中幹也(中)166cm 内野手
 児玉亮涼(西)166cm 内野手
 石川雅規(ヤ)167cm 投手
 西野真弘(オ)167cm 内野手
 福田周平(オ)167cm 外野手
 西巻賢二(De)167cm 内野手
 柴田竜拓(De)167cm 内野手
 上川畑大悟(日)167cm 内野手
 西尾歩真(SB)167cm 内野手/育
 山本拓実(日)167cm 投手
 吉川雄大(楽)167cm 投手

 育成出身の西武の内野手、滝澤が最も背が低い。この顔ぶれの中には現役最多勝のヤクルト石川や、オリックスの西野、福田、DeNAの西巻、柴田、日ハムの上川畑など一軍で渋い働きをしている選手が多い。小さい体でプロを生き抜いてきた筋金入りの選手だ。

西武の新外国人アギラーは125kg!

 ◆重量級10傑
 アギラー(西)125kg 内野手
 ラミレス(広)124kg 内野手/育
 バルドナード(巨)122kg 投手
 レイエス(日)120kg 外野手
 ミエセス(神)119kg 外野手
 リチャード(SB)118kg ・内野手
 村山亮介(ロ)118kg 捕手/育
 セデーニョ(オ)118kg 内野手
 赤塚健利(広)118kg 投手
 ザバラ(日)117kg 投手
 ロドリゲス(日)116kg 投手 
 ポンセ(楽)116kg 投手

 最重量は西武の新外国人選手、ヘスス・アギラー。MLB通算114本塁打のバリバリのメジャーリーガーだ。続いて、これも新入団、広島の育成内野手のモイセス・ラミレス。

 以下も外国人選手が並ぶが、日本人ではソフトバンク内野手の砂川リチャード、ロッテの育成捕手の村山亮介、広島投手の赤塚健利の118kgが最も重い。昨年リチャードは123kgで1位だった。5kg体を絞ったことになるが、野球のランキングでもそろそろ上位に顔出しをしてほしいところ。

 今季の100kg以上の選手は91人、全選手の平均体重は85.83kg、昨年は100kg以上は70人、85.13kgだから、大型化がじわじわと進んでいる。

 ◆軽量級10傑
 長水啓眞(SB)62kg 投手/育
 村山源(巨)63kg 内野手/育
 大津亮介(SB)64kg 投手
 藤原大翔(SB)64kg 投手/育
 滝澤夏央(西)65kg 内野手
 児玉亮涼(西)65kg 内野手
 五十幡亮汰(日)65kg 外野手
 村川凪(De)65kg 外野手/育
 西尾歩真(SB)66kg 内野手/育
 阿部和広(日)66kg 外野手/育
 宇都宮葵星(巨)66kg 内野手/育

 軽量級では育成選手が多い。これから体づくりをする途上なのだろう。その中では、ソフトバンクの大津は新人の昨年、46登板し13ホールド。ロッテとのCS第3戦では逆転負けを喫して涙にくれたが、まだこれからの選手だ。

 個人的には独立リーグ徳島から走力一本で入団したDeNAの村川凪の奮起に期待したい。

年俸でついに「10億円プレーヤー」が

◆年俸上位10傑

 最後に、身体測定とはあまり関係がないが――年俸上位10傑を、2023年と比較しておこう。

〈2024年〉
 オスナ(SB)10億円/投手
 村上宗隆(ヤ)6億円/内野手
 坂本勇人(巨)6億円/内野手
 柳田悠岐(SB)5.7億円/外野手
 近藤健介(SB)5.5億円/外野手
 有原航平(SB)5億円/投手
 山田哲人(ヤ)5億円/内野手
 浅村栄斗(楽)5億円/内野手
 オースティン(De)4.35億円/外野手
 岡本和真(巨)4.2億円/内野手

 ソフトバンクはクローザーのロベルト・オスナを引き留めるために4年総額40億円という史上最高額で契約を延長した。NPB初の10億円投手だ。ソフトバンクは柳田、近藤、有原と5億円選手も3人いるが、柳田を除いて移籍してきた選手だ。

 ヤクルトの村上と巨人の坂本が、日本人選手の頂点に立っている。もし去就が決まらないトレバー・バウアーがNPBに再加入すれば、この上位に入るだろう。

〈2023年〉
 山本由伸(オ)6.5億円/投手
 オスナ(SB)6.5億円/投手
 柳田悠岐(SB)6.2億円/外野手
 村上宗隆(ヤ)6億円/内野手
 坂本勇人(巨)6億円/内野手
 山田哲人(ヤ)5億円/内野手
 有原航平(SB)5億円/投手
 菅野智之(巨)5億円/投手
 浅村栄斗(楽)5億円/内野手
 田中将大(楽)4.75億円/投手

 山本由伸が日本人選手としては1位だった。このランキングから今年、巨人の菅野智之、楽天の田中将大と一世を風靡した大投手が外れている。

 MLBではFA年限を迎えれば、タイトルに無縁である並みの選手でも10億円以上の年俸を得ている。日米の年俸格差は非常に大きい。これからも有力選手は働き盛りでMLBに移籍する流れは続いていくことだろう。<第1回「オープン戦とペナント順位の相関関係は?」からつづく>

文=広尾晃

photograph by Nanae Suzuki/JIJI PRESS