藤井聡太八冠が初防衛をかけた対局に臨みます。将棋の名人戦が5月に大分県別府市で行われることが決まりました。

名人戦7番勝負の第4局が5月18日と19日に、別府市の「割烹旅館もみや」で行われます。市は市政100周年を記念する事業として市内での対局実現に向け取り組んでいました。開催決定を受け、別府市の長野市長が会見を開きました。

長野別府市長

「将棋戦の中でも最も歴史と伝統がある名人戦開催を通じて、将棋のすばらしさや奥深さを実感してもらい、地域における文化意識の高揚を図ると共に、別府らしいおもてなしを行って別府ブランドの向上に努めていきたい」

名人戦は現タイトル保持者の藤井聡太名人に挑戦者が挑みます。将棋のタイトル戦が別府市で行われるのは、初めてです。市は実行委員会を立ち上げ大盤解説会や前夜祭などを企画します。早速OAB取材班は、正式決定を受けて対局会場へと向かいました!

楠元記者

「割烹旅館もみやさんにお願いして特別に対局場の部屋を見せてもらいます。それがこちらです」

70年前に開業。別府市中心部とは思えない静かな空気が流れる空間に、対局の間の外に目をやると美しい日本庭園が。立派な錦鯉も池を悠然と泳いでいます。いまや将棋といえば気になるのが勝負メシ!

東洋軒

工藤海斗さん

「(食べたら)力になってくれると思うのでぜひ食べていただけたら」

いま勢

諫武成子会長

「ぜひ召し上がっていただきたいですね」

周辺の飲食店でも早くも藤井八冠への熱は高まるばかり。

いまや若い世代の注目株といえば大谷翔平選手か藤井聡太八冠かという感じですが、まずは今回行われる名人戦は将棋界の最高峰ともいわれています。

特に名人と竜王は8つあるタイトルの中でも格上とされていて名人戦は先に4勝した方が勝利。その4局目が別府開催ということで、間違いなく別府での対局があります。どちらかが4連勝すれば藤井名人の防衛、もしくは新名人の誕生の瞬間が訪れます。

関係者に取材をすると対局場決定までは極秘裏に準備が進められました。会場に決まったもみやには2023年10月別府市から「いくつかの会場の候補の中の1つに入れていいですか?」と最初の打診がありました。

その後「対局が3月なのか、4月なのか5月なのか、いつになるか分からない。その間の予約受付を控えてもらえませんか?」と連絡があったそうです。

そして1月9日、別府市が「名人戦開催の見通し」と発表したのをもみやの吉田さんが耳にし市に問い合わせました。しかし「5月か6月にほぼ開催」というぼんやりとした答えしかもらえなかったようで、結果14日の正式発表に至ったということです。

対局場となる「もみや」です。昭和29年(1954年)に今の経営者の祖母吉田愛さんが創業。1997年に別府市で開かれた日韓首脳会談では当時の橋本総理と韓国のキム・ヨンサム大統領の晩餐会が開かれました。

また医師の日野原重明さんと養老孟司さんの食事会で使われたこともある由緒ある場所です。

さて、将棋のタイトル戦で気になるのは勝負メシですが、もみやの吉田さんによると「現段階で食事の用意などは全く言われていない」ということです。毎回勝負メシではご当地の料理や名店の品が話題になりますが、我々としてこんなところが選択肢になるのではと取材しました。とり天発祥の店といわれる東洋軒会長の宮本さんは「天(天下)を取り(鳥)、勝っていただきたい。縁起もいいのでぜひ!」と強くおすすめしています。またうなぎの名店いま勢の諫武会長は「期待大!ぜひ藤井名人に召し上がっていただきたい」と早くも地元では大きな期待が高まっています。

名人戦第4局は5月18日19日の2日間です。