大分空港を宇宙港にする計画が発表されてから4年が経ちました。
大分県内で具体的な事業はまだ始まっていませんがその歩みは一歩ずつ進んでいるようです。
2020年に大分県が発表した宇宙港計画。
そのニュースに大分県民も期待をふくらませていましたが、最初に提携したアメリカの宇宙開発企業ヴァージン・オービッドが経営破綻し宇宙事業から撤退しました。
現在唯一の望みが、同じくアメリカの宇宙開発企業「シエラ・スペース」です。
2022年、日本航空、東京の総合商社・兼松と県が協定を結び、副社長の視察なども行われました。
宇宙港の実現に向け一歩前進するニュースが入ってきました。
5月20日、アメリカ航空宇宙局NASAはシエラ・スぺースの宇宙船「ドリームチェイサー」の初号機が打ち上げ準備のためケネディ宇宙センターに到着したと明らかにしました。
2024年中にも初めての打ち上げをする見通しです。
シエラ・スペース社と連携し大分の宇宙港の実現に向けて動いている兼松の高田敦さんにOABが独自でインタビューをしました。
兼松航空宇宙部 髙田敦さん
「今年最初にシエラ・スペース社が国際宇宙ステーションの補給ミッションとアメリカへの帰還をするので、そこで実績を示すことが出来れば不安も低減できるしその技術が大分でどう適用できるかの調査も今後本格的に進んでいくので確度は少しずつ上がっていく」
大分の宇宙港計画はいまどこまで進んでいるのか?期待される経済効果や課題とともにみていきます。
浅見アナウンサー
大分空港は宇宙港としてどう使われるんでしょうか。
シエラ・スペース社のドリームチェイサーがロケットに積まれて発射場から打ち上げられます。
国際宇宙ステーションに着いたら宇宙飛行士の必要な物資を届けたり宇宙空間で実験するためのサンプルを送ったりなどのミッションを行います。
その後、採取した実験サンプルなどを持ち帰り大分空港に着陸するという予定です。
この一連の計画が早ければ2027年にも実現する見込みです。
5月17日に宇宙に関するセミナーが開かれましたが、参加者からはこんな質問がありました。
「ドリームチェイサーは年間何回ぐらい大分に降り立つ予定ですか?」
登壇した兼松航空宇宙部の高田敦さんは「打ち上げは年間4回ほどの見込み。そのうち1回は大分に着陸するのでは」と回答しました。
このミッション、経済効果は日本全体で3500億円、大分だけでも350億円の経済効果が生まれるとされています。
教育や宿泊業などへの経済波及が期待されます。
また、セミナーの中で高田さんは世界の先進的な施設を紹介しました。
宇宙港となる大分でも建設されればさらに大きな経済効果となるかもしれません。
海外はこんな先進例も。
アメリカ・アラバマ州にあるハンツビルという都市。
ここには現在宇宙ロケットセンターがあり1960年代からロケット開発の拠点として多くの技術者が移住してきた街です。
スペースシャトルの着陸シミュレーターや月の石や人工衛星の展示物などがあり大人から子どもまで楽しめる体験型施設があります。
入場料は大人約4500円、子どもは約3000円です。
中でも目を引くのが宇宙キャンプというプログラムです。
子ども向けでも6日間で25万円ほど。
なかなか高価ではありますが、低重力での歩行訓練やロケット模型を自作して発射する体験など本物の宇宙飛行士の訓練さながらの内容が受けられます。
大分も宇宙港化すればこんな施設が出来るんでしょうか?
大分県の宇宙開発振興班の担当者に聞きました。
「小中学生の修学旅行や社会科見学に最適だが集客や管理費用を考えると…現状、県では建設の予定はない」そうです。
ただ民間の企業でこうしたレジャー施設を作る!というのも宇宙ビジネスのヒントになるかもしれません。
わくわくする話をしてきましたが、まだ課題もあります。まずは法整備。
今の航空法でドリームチェイサーの着陸が認められるのか、またドリームチェイサーは打ち上げの実績がなく初号機の発射・そして帰還に注目が集まります。
こういった課題を一つずつクリアしながら計画が進んでいくと同時に私たちも盛り上げの機運を高めていきたいですね。