【豊後高田】豊後高田市は、災害時にあらかじめ登録された災害弱者(要支援者)を直接受け入れる指定福祉避難所を初めて選定した。本年度から要支援者と、同避難所となった福祉施設、関係機関とを橋渡しする専門の職員を配置。現状把握と支援の強化を図る。
 従来の福祉避難所は災害時に行政の依頼に応じて福祉施設が対応の必要な要支援者を迎え入れるのに対し、指定福祉避難所は避難先を事前に決めておく「個別避難計画」を作成した要介護3以上などの要件を満たす在宅の要支援者を直接、受け付ける。
 市内初の指定福祉避難所となったのは、老人介護施設や生活支援ハウスなどの福祉施設3カ所と市役所高田庁舎。3施設は個別避難計画を作成、登録していた要支援者に応じる。高田庁舎は、一般避難所の一部スペースを福祉避難所として運営し、配慮が必要な妊産婦や高齢者らを広く受け入れる。
 市社会福祉課によると、3月末現在、市内で個別避難計画が必要な要支援者290人のうち、作成済みの人は71人(作成率24%)。4月から社会福祉士と介護福祉士の両資格を持つ「在宅災害弱者支援員」として谷口仁美さん(55)を採用し、戸別訪問などを通じて計画作成を進めている。
 谷口さんは「要支援者は状況に応じてそれぞれ必要な避難計画が異なる。まずは要支援者やその家族と信頼関係を築き、日頃の備えについて啓発をしていきたい」。同課は「災害はいつ発生するか分からない。できるだけ早く実態把握に努め、安心して避難できる体制を整えたい」と話した。