最近TikTokやYouTubeなどで流行っている「猫ミーム」動画。日常のできごとやあるあるネタを、猫の画像素材を使って再現したものです。

雑に切り取られた猫の動画と、仕事の苦労話などの世知辛いエピソードが絶妙にマッチ。ミーム化した中でも人気な素材がいくつかあり、例えば頭をおさえて泣く子猫は悲しい時に使ったり、手を広げてジャンプしている猫は幸せな時、ウニャウニャつぶやく猫は誰かに文句を言われているシーンなどで使われがちです。

他にも、場面に応じて、猫パンチや咀嚼する猫、バナナのかぶりもの姿の猫、笑う犬、舌をペロペロさせるヤギなどの動画を活用。背景やテロップを入れて、猫ミームのシュールな動画が完成します。若い世代の編集能力に驚かされます。

BGMつきの猫ミームもあり、アヴリル・ラヴィーンの曲や「Happy Happy Happy!」という高音の歌などが、テンションが上がるシーンで活用されています。見続けると、普段の生活の場面でも脳内で流れ出しそうです。そんな中、バズっているのが「チピチピチャパチャパ」という印象的な歌詞の曲。気分転換や楽しさを表現する時に使われています。

原曲タイトルは「Dubidubidu」で、歌詞はスペイン語。2003年にチリで発売されました。歌っていたのは当時5歳で子役出身のクリステル・ロドリゲスさんです。「チピチピチャパチャパ」「ドゥビドゥビダバダバ」のフレーズには特に意味はなく、歌詞全体を要約すると、家に来て一緒に遊びましょう、という無邪気な内容。チリ版「マル・マル・モリ・モリ!」みたいな感じでしょうか。

再ブレイク後、クリステルさんは日本の取材にも答えていて、20年ごしに地球の反対側まで歌が届くなんて、と驚きを語っていました。インスタには日本語で「曲を楽しんで踊ってくれて本当にありがとう」「聴き続けてください。とてもうれしいです」と喜びのコメントを投稿。Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」ではしばらくトップの座でした。

歌手にとってTikTokで再ブレイクするのは、狙ってもできない、人生のボーナスのようなもの。「猫ミーム」にはインターネットの招き猫のような御利益があるのでしょうか。(漫画家・コラムニスト、エッセイスト)