ドキュメンタリー映画『ちゃわんやのはなし―四百年の旅人―』の公開日が決定し、新たな場面写真と、作家の梨木香歩、茶道裏千家家元の千宗室ら各界著名人からのコメントが公開された。

本作では、朝鮮にルーツを持つ薩摩焼の名跡である沈壽官家の420年以上に渡る歩みを背景に、日本と韓国における陶芸文化の発展と継承の過程を紐解く。ナレーションは、俳優の小林薫が務める。

豊臣秀吉の2度目の朝鮮出兵の際に、主に西日本の諸大名は各藩に朝鮮人陶工を連れ帰った。薩摩焼、萩焼、上野焼等は朝鮮をルーツに持ち、今もなおその伝統を受け継いでいる。

幼少期に経験した言われなき偏見や差別の中で、日本人の定義とは何かと自身のアイデンティティに悩んだ十五代沈壽官を救った司馬遼太郎の至宝の言葉。十二代渡仁が父から受け継いだ果たすべき使命。十五代坂倉新兵衛語る父との記憶と次代への想いとは。

朝鮮をルーツに持つ陶工たち、その周囲の人々のはなしが交差し、いま見つめ直すべき日本と韓国の陶芸文化の交わりの歴史、そして伝統の継承とは何かが浮かび上がる。

【コメント】

▼梨木香歩(作家)
日韓の歪みの只中を生きざるを得なかった沈家の歴史が、「自らを一個の『人類』に仕立て上げる」という司馬遼太郎の言葉に昇華される瞬間は、十五代沈壽官氏個人のものでありながら、全人類の希望でもある。民族の精神はここまで進化しうるのかと感動した。国を超えた、魂の根幹を描いた作品だ。

▼武田砂鉄(ライター)
守るために変える。変えながら守る。今を知るために過去と向き合う。過去を知るために今と向き合う。この反復が築き上げる気高さを知った。

▼千宗室(茶道裏千家家元)
公開おめでとうございます。400年以上に亘って受け継がれてきた技と知恵の灯を絶やさぬよう、これからも地域に根差したものづくりにお努めください。

▼杉山享司(キュレーター)
近くて遠い、海峡をめぐる400年の旅。日韓を結ぶ己がルーツと向き合いながら、紡ぎ出される「ちゃわんや」としての心魂の言葉。民族とは何なのか、家族とは何なのか、人はどう生きればいいのか。そんな問いが、観る者の心を揺さぶります。

▼永井玲衣(哲学者)
「文化」とは何だろう。それは、数多くのひとたちの手によって育まれ、新しい地に根差しながらも、故郷を想い、枠組みとしての民族や国家を越えようとする、不断の試みだ。この映画は、そのことを教えてくれる。

▼とに〜(アートテラー)
さつま芋やさつま揚げと同じく、薩摩に由来するやきものなのだろう。薩摩焼をその程度にしか認識してなかった自分が恥ずかしくなりました。薩摩焼の裏側にある歴史、人々のドラマ。映画を観終えた後は、薩摩焼の白色がより一層深く感じられました。

▼松尾貴史(俳優)
過酷な環境下での辛苦と研鑽による民族間の数百年ものせめぎ合いで昇華された芸術だと実感。抑制された表現の中、司馬遼太郎や山折哲雄らの生々しい言葉によって沸たぎる熱がトランスされる。これは精神の旅そのものだ。

映画『ちゃわんやのはなし―四百年の旅人―』は、2024年5月18日(土)より全国順次公開。

作品情報 映画『ちゃわんやのはなし―四百年の旅人―』

豊臣秀吉の2度目の朝鮮出兵の際に、主に西日本の諸大名は各藩に朝鮮人陶工を連れ帰った。薩摩焼、萩焼、上野焼等は朝鮮をルーツに持ち、今もなおその伝統を受け継いでいる。幼少期に経験した言われなき偏見や差別の中で、日本人の定義とは何かと自身のアイデンティティに悩んだ十五代沈壽官を救った司馬遼太郎の至宝の言葉。十二代渡仁が父から受け継いだ果たすべき使命。十五代坂倉新兵衛語る父との記憶と次代への想いとは。朝鮮をルーツに持つ陶工たち、その周囲の人々のはなしが交差し、いま見つめ直すべき日本と韓国の陶芸文化の交わりの歴史、そして伝統の継承とは何かが浮かび上がる。

監督:松倉大夏

出演:十五代 沈壽官、十五代 坂倉新兵衛、十二代 渡仁 ほか

語り:小林薫

配給:マンシーズエンターテインメント

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2024年5月18日(土) ポレポレ東中野ほか全国順次公開

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