明るい場所から急に暗い室内に入ったときは、最初は何も見えなくても、徐々に目が慣れて周囲の物が見えるようになるのが一般的ですが、中には時間がたっても見えるようにならないことがあります。このように、暗い場所で物が見えにくくなる病気は、多くの鳥類が夜目が利かないことに由来し、「鳥目」と呼ばれています。鳥目を発症する原因や対策について、眼科医の蓮見由紀子さんに聞きました。

ビタミンAの不足が原因で発症するケースも

Q.そもそも「鳥目」を発症すると、どのような症状が出るのでしょうか。

蓮見さん「鳥目は『夜盲症』という目の病気の俗称です。明るい場所から急に暗い場所に入ると、最初のうちは真っ暗で周囲が見えなくなることがありますよね。これは『暗順応』という目の自然な反応で、暗さに慣れて次第に見えるようになれば病気ではありません。ところが、夜盲症の人はこの暗順応が上手に機能せずに、時間がたっても見えないままになってしまうのが特徴です」

Q.鳥目の原因について、教えてください。症状を改善する方法はありますか。

蓮見さん「鳥目(夜盲症)の原因は、先天性のものと後天性のものの2つのパターンがあります。先天性夜盲症という病気もまれにありますが、ほとんどの夜盲症は網膜色素変性によるもので、遺伝子の異常で起こる疾患のため、先天性といえば先天性ですが、生まれつき夜盲なわけではありません。

発症は早い人だと思春期ごろから30〜40代くらいと幅があります。先天性の要因では遺伝子異常などを発端としていることから、具体的な治療方法はまだ確立されていません。

後天的の要因としては、『ビタミンAなどの栄養不足』『目に生じた炎症や外傷』などがあります。栄養不足が要因の場合は、サプリなどで栄養を摂取すると回復することがあります」

Q.鳥目にならないようにするには、どうしたらよいのでしょうか。

蓮見さん「先天性要因の夜盲症は、遺伝などが関係するケースもあるため対策が難しいのですが、後天性要因の夜盲症の対策としては、やはり栄養をバランスよくしっかり摂取することでしょう。食べ物でいうと、レバーにはビタミンAが多く含まれています。日常的に摂取できない場合はサプリを併用しても良いですね。ただ、消化器系の疾患や合併症などによって、ビタミンAが不足しがちになる体質の人もいます」

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 目の中には「視細胞」という色や光を感知する細胞があり、その細胞から伝達する情報で見たものの情報を脳が処理するということです。例えば、突然、非常に明るい部屋に入ると情報処理が追い付かなくなりますが、細胞の働きが正常であれば徐々に見えてくるという仕組みだそうです。

 一方、「暗い場所でよくつまずく」「ほとんど前が見えない」といった症状がある場合は、一度眼科を受診しても良いかもしれません。