近年、国内では害虫の一種である「トコジラミ」に関する相談件数が増加しています。東京都によると、2005年度の相談件数は26件でしたが、2020年度の相談件数は320件と、15年で10倍以上に増えています。

 相談件数が増えた要因として、外国人観光客の増加のほか、従来の有効成分が効かないトコジラミが発生していることなどが指摘されています。トコジラミにかまれると激しいかゆみが生じるといわれていますが、被害を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。自宅での対策について、アース製薬(東京都千代田区)の担当者に聞きました。

「テネベナール」入りの薬剤が有効

Q.そもそも、「トコジラミ」とはどのような虫なのでしょうか。

担当者「トコジラミは、シラミやダニと勘違いされることがありますが、カメムシの仲間です。幼虫は乳白色で体長は1〜4ミリメートル程度、成虫(雌・雄)は赤褐色で5〜8ミリメートル程度の大きさです。気温が25度程度の環境を好み、春から夏にかけて活動のピークを迎えます。幼虫、成虫ともに動物の血を吸って成長します。

トコジラミは1日3〜6個、生涯で約500個もの卵を産むことから繁殖力が高く、近年は従来のピレスロイド系の駆除剤に耐性を持つ『スーパートコジラミ』と呼ばれるものが発生するようになり、問題視されています」

Q.「トコジラミ」にかまれた場合、どのような症状が出るのでしょうか。

担当者「トコジラミは細い管状の口を持っており、それを人の皮膚に突き刺して吸血します。吸血するときに、血液が固まらないよう唾液を注入しますが、その唾液にはアレルギー物質が含まれているため、刺されると激しいかゆみや腫れ、発赤が生じます」

Q.「トコジラミ」に関して、アース製薬に相談が寄せられることはありますか。

担当者「近年、当社への問い合わせが増えています。2022年の相談件数は313件でしたが、トコジラミの被害に関する報道が始まった2023年秋以降に急増し、同年の相談件数は、前年比3.12倍の975件でした」

Q.「トコジラミ」による被害をできるだけ防ぐには、どうしたらよいのでしょうか。家庭での有効な対策について、教えてください。

担当者「トコジラミはベッドや床、壁などの隙間、ダンボールなどに隠れており、『暗くて血を吸いに行きやすい場所』『亀裂などの狭くて暗い場所』『布が重なった部分、継ぎ目』『暖かい場所』を好みます。

また、吸血しても大部分をフンとして出すので、血が混ざった赤いフンの汚れ跡が潜伏場所付近に付着します。旅行先や出張先でホテルに到着したら隙間などをチェックし、痕跡がないか確認してください。また、外から自宅に持ち込まないよう、帰宅時に鞄や衣類にトコジラミが付着していないか確認しましょう。

先述のように、近年はスーパートコジラミが発生するようになり、駆除がより難しくなっています。そこで、スーパートコジラミも駆除が可能な有効成分『テネベナール(一般名:ブロフラニリド)』の記載がある商品の使用をお勧めします。その商品を使い、部屋のすみずみまでしっかりと薬剤が広がることで、駆除はもちろん、発生予防にもつながります。

当社の家庭用向け商品でスーパートコジラミの駆除に効果があるのは、『ゼロノナイトG ゴキブリ・トコジラミ用 くん煙剤 6〜8畳用』です。

また、当社の虫よけ剤『サラテクト』はトコジラミに対する忌避効果があるため、肌が露出している部分にスプレーし、塗りムラがないよう塗り広げてみてください。持ち運びに便利で飛行機への持ち込みも可能な60ミリリットルサイズの商品もあります」