あなたは普段、フルーツをどのように食べていますか。そのまま食べることが多いかもしれませんが、酢豚に入れることのある「パイナップル」や、アップルパイに使われる「リンゴ」など、“温めて食べる”機会が多いフルーツもあります。実は、温めて食べることでさらにおいしく、栄養価もアップする場合があるようです。温めて食べるとよいのはどんなフルーツなのか、管理栄養士の桜井このさんに聞いてみました。

「熱に弱い栄養成分」に注意を

Q.酢豚に入れたパイナップルなど、フルーツが温かい料理に使われることがあります。フルーツを温めることによるメリットはあるのですか。

桜井さん「体を温める効果があるというのはもちろんですが、フルーツによってはオリゴ糖の吸収や脂質代謝を高めるものもあります。アップルパイなど、温かい状態で食べることも多いリンゴは、温めることによって抗酸化作用のあるビタミンEなどが多くなりますよ。

また、ジャムやコンポートなどに加工すると、日持ちするというメリットもあります」

Q.フルーツを温めて食べた場合と、常温や冷たい状態で食べた場合とで、栄養の違いはありますか。

桜井さん「大きな違いとしては、熱に弱い栄養成分があるという点です。水溶性のビタミンB群やビタミンC、ナイアシンなどは、熱を加えると壊れてしまいますから、そういった成分が多い果物は常温か、冷たいままで食べる方がよいでしょう。反対に、ビタミンAやビタミンKなどの脂溶性ビタミンは温めても問題ありません」

Q.温めて食べた方がよいフルーツと、冷やして食べた方がよいフルーツを教えてください。

桜井さん「桃、バナナ、パイナップル、レモンといった暑い季節・地域で生産されるフルーツには、体を冷ます効果があります。そのため、『体を冷やしたくない!』というときには、温めて食べると体に負担なく摂取できますよ。

反対に、冷やして食べた方が甘みが増しておいしくなるのはブドウ、スイカ、梨、キウイなどですね」

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 フルーツは「食べ方の選択肢があまりない」と思われがちですが、実は温めて食べることで、ぐっとレシピの幅が広がるものも。そのまま食べるのもフレッシュさを感じられておいしいものですが、体を温めるために“ホットフルーツ”も一度試してみてはいかがでしょうか。