先日パリ五輪男子サッカー大陸間プレーオフ(フランス・クレールフォンテーヌ)でインドネシアU23代表とギニアU23代表が対戦し、惜しくもインドネシアが0-1で惜敗して68年ぶりの五輪出場を逃した。
それでもAFC U23アジアカップ2024ではオーストラリア、韓国を打ち破る快進撃を見せて、東南アジアのサッカーが成長していることを見せつけた。インドネシアを筆頭に数多くの東南アジアの国々が力を付けている状況だ。
Jリーグも東南アジア各国と外国籍選手としてカウントしない提携国枠を結んでおり、今季はタイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、マレーシアの7カ国を対象としている。
そこで近年飛躍を見せる提携国枠を使える東南アジア人選手で実力者3選手をピックアップした。

インドネシアの至宝


マルセリーノ・フェルディナン



国籍:インドネシア
所属:ベルギー2部デインズ
ポジション:攻撃的ミッドフィールダー、左ウイング、セントラルミッドフィールダー
欧州にルーツを持つ選手を積極的に招集するインドネシアの中で、インドネシア出身で欧州挑戦をしているマルセリーノ・フェルディナンは、インドネシアの至宝として大きな期待を受けている。
優れた足元の技術で激しいプレッシャーを受けてもボールを失わないコントロールに、ナイフのように切り裂くパスセンスを備える。ドリブル技術も卓越しており、左ウイングとしても起用できる万能アタッカーだ。
AFCアジアカップはイラク戦にゴールを挙げて注目を浴び、AFC U23アジアカップ2024では格上ヨルダン相手に2ゴールをマークしてチームのグループリーグ突破の原動力となった。
17歳でトップチームデビューを果たし、インドネシアリーグ1部2021-22シーズンで23試合4得点7アシストを記録してインパクトを与えた。昨季からベルギー2部デインズに加入し、昨季はリーグ戦初ゴールを決めた。
だが今季は3試合無得点と苦しんでおり、契約も来月末に満了する。若干19歳で身長も東南アジア人選手では大柄の176センチと当たり負けしないフィジカルを持つだけにJリーグでの活躍を見てみたい。

Jリーガーの兄を持つ東南アジア屈指のウイング


スファナット・ムエアンタ



国籍:タイ
所属:ベルギー1部ルーヴェン
ポジション:右ウイング、左ウイング、センターフォワード
「バンク」の愛称で多くのタイ国民から支持を集めるムエアンタは、同国の英雄であるチャナティップ・ソングラシンと比較されるほどのアタッカーとしてタイをけん引する存在だ。
柔のチャナティップと比較して剛のムエアンタといったプレースタイルであり、力強く推進力のあるドリブル、緩急を生かした切り返し、そして並外れた決定力を持っている。昨季はブリーラム・ユナイテッドでリーグ戦30試合8得点11アシストで2年連続の国内3冠に大きく寄与した。
今季からベルギー1部ルーヴェンに期限付き移籍してオイペン戦でゴールを挙げるも、負傷の影響などでリーグ戦9試合1得点と出場機会に苦しんでいる。兄はJ1北海道コンサドーレ札幌に所属しており、期限付き移籍期間終了が迫るムエアンタが兄を追ってJリーグに挑戦してほしいものだが…。

UEFA CL出場経験がある守備職人


ディオン・コールズ



国籍:マレーシア、ベルギー
所属:タイ1部ブリーラム・ユナイテッド
ポジション:センターバック、守備的ミッドフィールダー、左サイドバック、右サイドバック
マレーシア代表の顔といえる絶対的な存在であるコールズ。ベルギー人の父親とマレーシア人の母親の下マレーシアで生まれ、幼少期に父の母国へと渡った。ルーヴェンやアンデルレヒトの育成機関で育ち、ルーヴェンでプロキャリアを始めた。
クルブ・ブルッヘにステップアップ移籍をしてからは、センターバックや守備的ミッドフィールダーとして活躍。チャンピオンズリーグにも出場を果たし、2015-16、2017-18シーズンのリーグ制覇に貢献した。

守備的ポジションはどこでもプレーできる優れたマルチロールであり、カバーリングの上手さ、空中戦の強さ、戦術理解能力は東南アジアでも屈指のレベルにある。J1クラスでもレギュラーとして活躍を期待してもいい実力を持っており、来月末に契約が満了するため27歳の動向に注目が集まっている。是非Jリーグに来てその実力の高さを見せてほしいものだ。