昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。 CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学びます。 5月1日の放送では、関西にある調剤薬局の承継事例を北野誠と松岡亜矢子が、三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

     

M&Aの着手金の金額に驚く!

今回藤原さんが紹介したのは、関西にある調剤薬局の事例。

北野「(この番組に相談が来る)調剤薬局さん、多いですね」

どのような会社だったのでしょう?

藤原「関西で個人事業主として薬局を1店舗だけ営んでいらっしゃった」

個人店で、チェーン店展開はしていなかったそうですが、なぜ譲渡することにしたのでしょう?

息子さんが薬剤師ではなく医者を務めることになり、調剤薬局の後継者が不在に。そこで、藤原さんの所属している経営承継支援に相談が来ました。

藤原「実は最初は他のM&A仲介会社さんに複数相談されていたんですが、大手M&Aの仲介会社さんの中には着手金がかかってしまうと…」

北野「藤原さんのところでは着手金はないんですか?」

藤原「うちは着手金はとらない。(最初相談されていた会社は)着手金が100万円必要と…入り口で。また、さらに成功したら2000万円かかると…」

北野「そりゃ無理やわ。調剤薬局さんで1店舗しかやっていなかったら、それハードル高すぎ」

そんな時に経営承継支援では「着手金がかからない」「リーズナブルな料金」ということを知って依頼したとのこと。

 

偶然の出会い

買い手はどのような会社だったのでしょう?

藤原「1店舗の調剤薬局の場合、大手の企業さんは手を挙げないので、同じエリアで独立開業している人を探そうとしていたけど、今回は関西ではなく東海エリアの薬局チェーンの会社でした」

北野「わざわざ関西の薬局に、なぜ東海エリアの薬局さんがM&Aをした?」

藤原「この理由には面白いことがありました。たまたま薬剤師さんで関西の実家に帰るという人がいて、非常に会社の中でも仲が良かったそうで『東海の薬局チェーンを買うから(関西に)戻ってやれば』と」

北野「買い取ってあげるから、君はそこに行って気にせずそのまま薬剤師としてウチのチェーン店としてやったらいいということね」

地元に戻ってもイチから薬剤師として独立するのは大変です。

藤原「(本人も)慣れ親しんだ会社がご厚意で言ってくれるし、責任者にもなれると前向きに検討していた」

 

ミラクルも起きる?

成約するまではどのくらいの期間がかかったのでしょうか?

藤原「11ヶ月ほどかかりました」

北野「長い方ですよね?」

藤原「普通(調剤薬局だと)半年くらいで成約することが多いんですけど、関西に戻る薬剤師さんも引っ越しの準備などがありました」

今回は、関西に戻る予定の薬剤師ありきの話だったので、引っ越し準備など、個人的な事情もあり、調剤薬局の事例としては長めだったと藤原さんは振り返ります。

北野「買い手は、社員もやめずに、次は場所変えて働けると…ホンマに万々歳の案件ですね」

藤原さんもこの偶然には驚いたそう。
今回のように1店舗だけの調剤薬局でも「相談してみるだけでも全然いい、結果こんなミラクルみたいな事例があるんだ」と実感した北野でした。
(野村)