セントラル(中環)は「香港の心臓部」と称される都市機能の中心地で、高層ビルや古い建物が混在し、山肌迫る傾斜地が多い土地柄から坂や階段が多く、独特な景観を作り出している。

中環駅を出てすぐに最高裁判所「香港終審法院」がある。


1912年に建てられた歴史ある建物で、バッキンガム宮殿を手がけた英国人建築家が設計したという。ドーム型の屋根の前方には目隠しをした女神が天秤を持っている像があり、いかなる環境にも惑わされない絶対的な公正を示している。


その近くには中国銀行のビルがある。これをひと目見てすぐに連想したのが、上海のバンド(外灘)にある中国銀行のビル。香港のビルは1950年に建てられ、上海のものより16年遅い。設計したのは同じ建築会社で、上海の中国銀行のビルに似せて建てられた。


坂を登っていくと、ストライプが特徴的な古い建物が見える。多くの人が写真を撮っていた。


1892年に建てられ、元は牛乳会社の氷室だった。現在のように電気で動く冷蔵庫ではなく、氷を使って冷やしていた。亜熱帯気候の香港では自然の氷が手に入らず、中国北部で購入していたという。現在は芸穂会という芸術団体と外国人記者クラブが建物の管理と運営を行っている。

次に向かったのはリノベーションスポット「大観」。元は区の警察署本部と裁判所、監獄だった。1860年代に建てられた最も古い建物だ。警察署の移転に伴い、香港競馬会が中心となって8年の歳月をかけて修復し、オープンした。


先ほどの警察署本部の建物を反対側から見たところ。広い空間は運動場として使われていた。


かつての監獄も見学することができる。ベトナムのホー・チ・ミン氏が一時ここに拘留されていたという。


亜熱帯気候で多湿な香港だが、この監獄にはエアコンがなかったとのことで、囚人らの生活は大変だっただろう。


展示はアート的な要素もあり、監獄の展示なれど、どこかスタイリッシュな趣も感じさせられた。

散策を続けると、いかにも古い雰囲気の店があった。


店名を見ると、「公利真料竹蔗水」とある。サトウキビジュースの店だ。他にも亀ゼリーや涼茶、体の熱や湿気を取るといわれる(多くがとんでもなく)苦いお茶もある。ちょうど喉も乾いていたので1杯いただく。


この日は咳があったので、あっさりした甘味のお茶「羅漢果茶」にした。「公利真料竹蔗水」は1948年創業。店が入る建物は1920年代に建てられ、香港の歴史建築にも指定されているという。

さらに歩くと、素敵な香港土産の店を発見した。


ディスプレーに引かれて入ったが、値段は高め。デザインのセンスは非常に高いので、好きな人には刺さると思う。この辺りは石段沿いに土産を扱うテントも多くあるため、ここで土産を探すことも可能だ。


暗くなってきて、そろそろ夕飯が気になる時間。この日は昼間にたくさん食べたこともあり、空腹になるまで時間がかかりそうだったため、「麺くらいなら…」とワンタン麺を食べることに。ワンタンの他に牛肉が載っている。


上海の麺はそうめんのようにくたっとしているが、こちらのワンタン麺はかんすいを使っており、細いのにコシが抜群で食感が良く、とてもおいしかった。香港旅の参考になれば幸いだ。(提供/フライメディア)