2024年4月17日、中国メディアの第一財経は、日本の化粧品大手コーセーが、中国のECプラットフォームにある同名ブランドショップの営業終了を発表したと報じた。

記事は、コーセーブランドの天猫(Tmall)旗艦店がこのほど、今月19日で営業を終了すると発表したことを紹介。これに先立ち、同ブランドの公式オンラインショップも昨年8月に閉鎖していたと伝えた。

そして、日本の3大化粧品メーカーの一つとされるコーセーが1998年に中国に進出してからすでに36年が経ち、傘下の複数ブランドが中国で高い知名度を持っているとし、2005年には中国向けの販売専門法人を設立してコスメデコルテや雪肌精、インフィニティといったブランドを中国市場に広めてきたと説明。天猫にオープンした旗艦店はすでに14年間営業を続け、累計フォロワー数は88万5000人に達したと紹介している。

一方で、コーセーグループは昨年の売上高が前年比3.9%増えたものの、営業利益は同27.7%の大きな減少となり、特に中国本土のECや観光といったチャネルの小売額が顕著に減少したと指摘。このため、業界内からは天猫からの撤退が同社の中国戦略調整の一環だとの見方が出ていると伝えた。

その上で、コーセーブランドの天猫旗艦店が閉店する一方で、オフライン店舗や微信(Wechat)ミニアプリのショップでは引き続き買い物ができること、コスメデコルテや雪肌精など各ブランドの天猫ショップは引き続き営業しており、閉店の情報も出ていないと紹介。同社の関係者が、コーセーブランド天猫旗艦店の閉鎖は事業の枠組み調整の一環にすぎず、同社は引き続き中国市場を重視しており撤退する意思はないと説明したことを伝えた。

記事は、資生堂傘下のスキンケアブランドIPSAも先日オフライン事業部門の戦略調整を行ったと紹介。中国のデジタルサプライチェーン専門家が「日本の化粧品ブランドが中国市場で店舗展開を調整するのは必然の流れ。その背景にはここ数年の国産ブランドブームがある」と解説する一方、「必要以上の詮索は無用。これまで多くのブランドが品質とブランドのオーバープレミアムを競争戦略として採用してきたが、これでは持続可能な発展は難しい。そこで一部のブランドでは天猫などのプラットフォームの店舗を閉じてブランドの独立性に回帰した。これは決して悪い選択ではない」と評したことを紹介した。(翻訳・編集/川尻)