2024年4月29日、香港メディア・香港01は、外国為替市場で1ドル=160円台に突入するも、すぐに5円ほど円が急上昇する現象が起きたと報じた。

記事は、29日午前に1990年4月以来34年ぶりとなる1ドル=160円台に突入したとする一方、日銀による為替介入への警戒感が一層高まったことから午後に入ると一転して同156円台まで急上昇したと紹介。このところ何度も円安の「警戒線」が破られている状況でも日銀が介入を明言しておらず、市場は常に緊張状態にあると伝えた。

その上で「円の急落に対して日本の当局はまったく動かないが、まったく無力なのだろうか? 。そうとも言えない」とし、ドイツ銀行のストラテジスト、ジョージ・サラベロス氏が「日銀の無策は一種の『良心的怠慢』によるもの。観光業が活況を呈し、日経平均株価の利ざやが上昇し、輸出企業の競争力が高まっているのだから、円安は日本にとって悪いことではない」との見方を示したことを紹介した。

一方で、今回の急激な円高について、シンガポールのTDセキュリティーズのストラテジストは「160円から155円へのスピードと変動幅は、公的介入が行われたことを示す。日本は大型連休中で流動性が下がっており、介入するにはこれ以上ないタイミングだった」と述べたほか、スタンダード・チャータード銀行のストラテジストも「今日の動きが当局による介入を意味するのであれば、一度限りの動きである可能性は低い。円相場が再び160円まで上昇すれば、追加介入が発動するかもしれない」とし、160円が再び「警戒線」になると予測したことを伝えている。

さらに、バンク・オブ・アメリカのストラテジストが、米経済から期待外れのニュースがない限り円安の圧力はかかり続けるため、もし日銀が155円の水準を保ち、利上げまでの時間を稼ぎたいのであれば、日本政府は為替介入を続ける必要があると指摘したことを紹介した。

記事は、日本政府が2022年に発動した為替介入では9月22日、10月21日、24日の3回に分けて合計9兆円以上の規模で行われ、その結果1ドル=152円から127円程度まで円が大きく値上がりしたと紹介している。(翻訳・編集/川尻)