Anirban Sen Anousha Sakoui

[ニューヨーク 28日 ロイター] - 今年第1・四半期の世界のM&A(企業買収・合併)は、大型案件の復活を背景に昨年の不振から立ち直り、市況改善を期待していた投資銀行関係者を喜ばせている。

ディールロジックの直近データによると、世界のM&A総額は約7551億ドルで前年同期比30%増加。100億ドルを超える大型案件の数も5件から14件に増えた。

投資銀行関係者は、堅調な業績や利下げの可能性、市場の動きが活発化したことなどを受け、企業経営陣のディールメークに対する自信が強まっていると指摘した。

M&A総額は米国で59%増の4318億ドルとなったほか、欧州とアジア太平洋もそれぞれ64%と40%増加した。

センタービュー・パートナーズのブレア・エフロン共同創業者は「案件がより大規模になる局面は、市場に健全さが戻ってきたという、より直接的なサインになる。本来経営陣はそうした案件の性質上、比較的慎重に取り組むからだ。現在のM&Aを巡る活動は正しい方向に進んでいると思う」と話した。

実際第1・四半期には複数の企業が自社のしっかりしたバリュエーションを活用して大型案件の資金を調達し、一部の投資適格級企業は高額の標的を傘下に収めるための借り入れを行った。

バンク・オブ・アメリカのグローバルM&A共同責任者イバン・ファーマン氏は、想定される経済の基本シナリオがソフトランディングと物価の落ち着きとみられる結果として、経営陣は将来に対する安心が増し、ディールを模索する公算が大きくなるとみている。

第1・四半期の大型案件としては、キャピタル・ワンによるディスカバリー・ファイナンシャルの買収(353億ドル)や、シノプシスのアンシス買収(350億ドル)、ダイヤモンドバック・エナジーのエンデバー・エナジー買収(260億ドル)などが代表的だ。

ただ昨年資金調達コストが増大した影響で落ち込んだレバレッジド・バイアウト(LBO、借入金を利用した企業買収)は、第1・四半期も7%減の910億ドルにとどまった。

法律事務所ポール・ワイス・リフキンド・アンド・ガリソンのグローバルM&Aグループ共同責任者クリシュナ・ベーララガバン氏によると、この分野ではまだ資産の売り手と買い手の希望価格に開きがあるという。