Kentaro Sugiyama

[東京 18日 ロイター] - 4月のロイター企業調査で「物流の2024年問題」が自社の事業に影響するか質問したところ、約9割が「出る・出る可能性がある」と回答した。このうち約9割が輸送コストが上昇するとし、運送事業者との連携、配送ルートや納品スケジュールを見直すなどとする企業が多かった。

調査は4月3日─4月12日。調査票発送企業は497社、回答社数は235社だった。

トラックドライバーの働き方改革に関する法律がこの4月から施行され、時間外労働の上限が制限されることになった。労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、物流の停滞が懸念されている。輸送コストの上昇が物価をさらに押し上げる可能性も指摘されている。

今回の調査では87%が事業に「影響が出る・出る可能性がある」と回答し、このうち89%が「輸送コストの上昇」、61%が「納品リードタイムの延長」、42%が「輸送スケジュールの管理複雑化」を上げた。

「原材料の仕入先から物流問題を起点とした値上げ要請がある可能性がある」(化学)、「長距離輸送をお願いしている下請業者が運航できないことになると困る」(運輸)といった声があった一方、「トラックの連続走行距離が短くなるため、新たな中継拠点の開設ニーズが出てくる」(不動産)など好影響の可能性に関する声もあった。

2024年問題へ対応するには、荷主企業、物流事業者(運送・倉庫など)の協力が必要との指摘がある。今回の調査では「輸送事業者との連携」で対応するとした企業が64%と最も多く、「配送ルートや納品スケジュールの見直し」が57%、「輸送コストの上昇分の価格転嫁」が47%、「デジタル化など効率化」が24%で続いた。

人手不足や円安などコスト上昇要因の中で、物流費を懸念していると回答した企業は全体の7%。人件費など労働コストの増加が45%と最も多く、原材料高が31%と2番目に多かった。

コスト上昇圧力に対しては、71%が「製品・サービスでの値上げ」で対応すると回答。60%が仕入れ価格の低減など「コスト削減の自助努力」、44%が「DX(デジタルトランスフォーメーション)投資などによる効率化」を上げた。

このほかの対策としては「設備投資による生産効率向上」、「営業力強化による売上増大」(ともに機械)、「資産圧縮による借入削減」(卸売)、「生産性向上に向けた新タイプ店舗の開発」(サービス)といった回答もあった。

(杉山健太郎 グラフィック作成:照井裕子 編集:久保信博)