Kentaro Sugiyama

[東京 18日 ロイター] - 4月のロイター企業調査で、東証が要請している資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について今後半年以内の行動を聞いたところ、「IR活動の強化」、「成長投資」、「株主還元」がそれぞれ5割程度(複数回答可)と上位を占めた。英文開示については9割が負担に感じているという。

調査は4月3日─4月12日。調査票発送企業は497社、回答社数は235社だった。

東証は昨年3月、プライム市場とスタンダード市場の全上場会社を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請した。対応を「検討中」としたのは5割超で、非企業を除くと約7割となった。

今後半年の企業行動は「IR活動の強化」が55%、「成長投資」が52%、「株主還元」が48%となり、「事業ポートフォリオの最適化」が26%で続いた。「特に考えていない」との回答も9%あった。

回答企業からは「IRはコンサルタントを入れて強化していく」、「業績に連動した株主還元はかねてより実施。企業の永続を実現するためには、常に成長分野への投資を模索しなくてはならない」(ともに食品)、「25年3月期前半にはサステナビリティ方針を策定予定。キャピタルアロケーションや事業ごとROIC(投下資本利益率)の開示についても順次検討を進める」(窯業)などの声が聞かれた。一方で、「東証要請は株主を意識しすぎている。株主還元偏重にならないよう留意している」(機械)との指摘もあった。

2025年4月以降、プライム上場企業に決算情報と適時開示情報の日英同時開示が義務づけられたことについて「すでに体制は整っている」とした回答は18%にとどまった。「25年4月までに体制を整える予定」が53%と過半を占めた。期限までに体制を整えることは「困難」とした企業も27%あった。

英文開示の要請について91%が「負担である」と回答した。

IR活動について「体制が整備されている」とした企業は38%で、すでに社内に専門部署が設置・新設され、機関投資家向けIR説明会や個人投資家向け説明会などが開催されている。「検討中」とした企業からは「重視しており、対応を拡大中」(繊維)、「非財務情報のさらなる開示などに対応していく」(機械)と前向きな声が聞かれる一方、「東証の理念は分かるが、限りある経営資源の振り分けには苦慮している(食品)との指摘もあった。

(杉山健太郎 グラフィック作成:照井裕子 編集:橋本浩)