Atsuko Aoyama Maki Shiraki

[東京 1日 ロイター] - 三井物産は1日、2025年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前年比15.4%減の9000億円になりそうだと発表した。会社予想は、IBESがまとめたアナリスト12人の予想平均値8949億円とほぼ同水準。金属資源事業が鉄鉱石価格の下落で減益となるほか、前期に計上した一過性利益の反動があるエネルギー事業などでも減益を予想する。

併せて、6月30日時点の株主に1対2の株式分割を実施すると発表。4000万株・2000億円を上限とする自社株買いも行う。取得期間は5月2日―9月20日。取得する全株式を10月1日に消却する。

今期配当は1株当たり中間・期末各50円、年100円を計画。株式分割の考慮前では年200円となり、前期の170円からは実質30円の増配となる。26年3月期までの中期経営計画期間中の年間配当の下限は従来の170円から200円に引き上げ、株式分割考慮後の下限は年100円となる見込み。

堀健一社長は決算会見で、今期が減益予想となる背景について「一過性要因の有無が一番大きい」とし、LNG(液化天然ガス)など一部のトレーディング事業は「期を走りながら、実績を見て上方修正したりする面があり、比較的ニュートラルな予算を立てる」などと説明。変動要因以外は収益として「堅調に積み上がっている」と述べた。

通期の前提為替レートは1米ドル=145円(前年実績145.31円)、1豪ドル=95円(同95.32円)。同社の場合、円安方向に1円動くと、米ドルで34億円、豪ドルで25億円それぞれ利益を押し上げるという。

足元で急激に変動している円相場について、堀社長は「円安を望むということでは全くなく、やはり安定しているほうが経営はしやすい」と指摘し、円安は「色々な意味でグローバルのコストが上がっていく」と語った。

「円での経営成績をドルに換算するとどれくらいに見えるかを絶えず意識しながら、世界の目線でわれわれの経営成績を注意して見る」とも話し、為替変動への対策としては「世界中に仕事(ビジネス)を分散させることのほうが(効果が)大きい」と述べた。

一方、同社が10%出資するロシア北極圏のLNG開発事業「アークティック2」の業績への影響については「25年3月期以降もほぼ見通せる」状態で、今後の「ダウンサイドのリスクは非常に限られている」と述べた。同事業は昨年11月に米国の制裁対象となったことを受け、追加で136億円の引き当てもしており、「状況をよくモニターして日本政府や関係者とよく相談しながら今後も注意深く対応していきたい」とした。