Lucia Mutikani

[ワシントン 3日 ロイター] - 米労働省が3日発表した4月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比17万5000人増と、3月から予想以上に伸びが鈍化した。賃金の前年比での伸びも約3年ぶりに4%を下回った。しかし、労働市場はなお逼迫しており、米連邦準備理事会(FRB)が9月までに利下げに動くという予想は時期尚早な可能性がある。

ロイターがまとめた予想は24万3000人増。予想レンジは15万人増─28万人増。

4月の雇用者数の伸びは過去6カ月で最小となったほか、過去1年間の月間平均である24万2000人も下回った。

2・3月分は計2万2000人下方改定された。

失業率は3.8%から3.9%にわずかに上昇。ただ4%を27カ月連続で下回った。

時間当たり平均賃金は前年比3.9%上昇で、3月(4.1%上昇)から鈍化し、2021年6月以来初めて4%を下抜けた。前月比も0.2%上昇と、前月の0.3%から減速した。

FNHファイナンシャルのチーフエコノミスト、クリス・ロー氏は「FRBの利下げを促すような低調な労働市場と呼ぶには程遠い」としつつも、「十分な労働力、雇用と賃金の伸びの鈍化は、インフレ抑制の一助となり、利下げの鍵となるはずだ」と述べた。

RSMのチーフエコノミスト、ジョー・ブルスエラス氏は「雇用がより持続可能なペースに鈍化することはインフレ見通しにとり有益と受け取られる」とし、賃金・物価スパイラルやスタグフレーションなどを巡る懸念払拭につながるという見方を示した。

業種別では、ヘルスケア関連が5万6000人増で全体の伸びを主導した。運送・倉庫は2万2000人増、小売は2万0100人増。建設、政府、レジャー・接客、製造業も増加した。

専門・ビジネスサービスは減少。将来的な雇用の行方を示すとされる人材派遣の減少継続を反映した。情報や鉱業も減少した。

平均週労働時間は34.3時間で、3月の34.4時間から減少した。

労働力人口は約8万7000人増加したものの、仕事が足りず、家計調査に基づく雇用者数は2万5000人増にとどまった。これが失業率の上昇につながった。

労働力参加率は前月から横ばいの62.7%で、依然として昨年11月以来の高水準。

経済的理由によるパートタイム労働者数は13万5000人増加した。経済の雇用創出能力の尺度とされる就業率は3月の60.3%から60.2%に低下した。

雇用統計を受け、9月の利下げ観測が強まった。市場が織り込む確率は約78%と、統計発表前の63%から上昇した。

JPモルガンの米国チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は「最初の利下げが7月という予想を堅持する」とし、「今後2カ月分の雇用統計で労働市場減速の継続が示されれば、FRBは安心して政策の抑制を幾分緩和できるだろう」と述べた。