Maki Shiraki

[静岡県小山町 24日 ロイター] - トヨタ自動車は24日、開発中の液体水素を燃料とする水素エンジン車について、水素タンクの形を改良して水素搭載量を1.5倍に増やし、航続距離を従来の約90キロから約135キロに伸ばしたと発表した。改良した液体水素エンジン車の「GRカローラ」を富士スピードウェイ(静岡県小山町)で同日から26日に行われる24時間耐久レースで走らせる。

水素は燃やしても二酸化炭素(CO2)を出さず、温暖化ガス排出量の削減が見込める。水素エンジンは燃料の水素をエンジン内に直接噴射して燃やすことで動力にしており、内燃機関を使うため既存のエンジン部品や技術を生かせる。トヨタは液体水素による水素エンジン車もカーボンニュートラル技術の選択肢にしたい考えだ。

トヨタは21年の24時間富士耐久レースで気体水素を燃料とする水素エンジン車のGRカローラを初参戦させ、23年のレースで初めて液体水素を燃料にして走行した。液体水素は気体水素に比べて航続距離を伸ばせるが、充填や貯蔵で高い技術が求められるため、レースで課題を洗い出して市販化に生かすことを目指している。

気体水素では高い圧力を均等に分散できるよう円筒形のタンクを使うが、液体水素は気体水素よりも低圧でタンクの形を変えることができるため、楕円形にして車内スペースを効率よく活用できるようにした。この結果、水素搭載量は円筒形に比べ1.5倍となり、22年までの70メガパスカル(MPa)に圧縮した気体水素の搭載時と比べると2倍以上になった。

また、今年のレースでは液体水素を昇圧してエンジンに送るポンプの耐久性を大幅改善し、無交換での完走を狙う。昨年のレースでは液体水素ポンプを2回交換した。