Joe Cash

[北京 9日 ロイター] - 中国の4月の輸出と輸入はともに前年比プラスに転じた。一連の政策支援の効果が表れ始めた可能性がある。

税関総署が9日発表した4月の貿易統計によると、輸出は前年比1.5%増で市場予想と一致した。輸入は8.4%増で、市場予想の4.8%を上回った。

3月は輸出が7.5%減、輸入が1.9%減だった。

アナリストは中国の貿易の回復が持続可能かどうかはまだ分からないとの見方を示している。

キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、Huang Zichun氏は「輸出は先月の減少から増加に転じたが、これは主に比較の基準が低かったためだ」と指摘。「輸出価格の変動と季節性を考慮すると、輸出は3月からほぼ横ばいだった」と述べた。

上海保銀投資管理(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威氏は「今年に入り輸出が経済のプラス要因となっている。内需低迷によるデフレ圧力が輸出競争力を高めている」と指摘した。

昨年は金利上昇を背景に外需が低迷し、輸出が不振だった。アナリストは、輸出業者は海外向け販売を維持するため値下げを続けていると指摘する。

ハンセン銀行(中国)のチーフエコノミスト、ダン・ワン氏は「多くの産業で見られる過剰設備が今後数カ月、輸出価格を押し下げ続ける」と予想。また米国の制裁回避に向け海外に投資する動きが広がり、化学、繊維、自動車部品などの工業原材料・資材の輸出が増えるとの見方も示した。

キャピタル・エコノミクスのHuang氏も過剰生産能力により輸出価格が低下し、輸出拡大につながったとする一方で、「メーカーの利益率はすでに圧迫されており、価格引き下げ余地は少なく、輸出価格は底を打ちつつある」と指摘。「人民元の実効為替レートが上昇していることがさらに逆風になるだろう」と語った。

4月の貿易黒字は723億5000万ドルで3月の585億5000万ドルから拡大した。予想は775億ドルだった。

4月の対米貿易黒字は272億4000万ドルで3月の229億4000万ドルから拡大した。1─4月は974億4000万ドルだった。

<在庫の拡大>

輸入は堅調な伸びとなったが、企業が商品在庫を積み増す動きも見られ、必ずしも国内需要と結びついているわけではない可能性がある。

ハンセン銀行のダン氏は「今年これまでのところ人民元の下落幅はアジアの主要通貨の中で最も小さい。これが力強い輸入の背景にある」と分析した。

「また中国の製造業者は価格が上昇する前に原材料を備蓄している」と述べた。

4月の石炭輸入は冷房需要が高まる前に電力会社が購入を増やしたため、前年比11%増の4525万トンとなった。鉄鉱石は1.1%増加、大豆も18%増となった。

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