傾聴してくれる人の存在の大切さを語った穂高ゆうさん=佐賀市のアバンセ

 子どもの頃に虐待を受けていた人たちが語り合い、支え合う自助グループ「しょうりゅうのつどい」の講演会が21日、佐賀市のアバンセで開かれた。子どもの頃のつらい経験に今も苦しんでいるというりゅうふみえ代表が、周囲の無理解や無関心によって虐待の悩みが伝わらない現状を訴えた。

 活動を伝えるラジオ番組への出演をきっかけに交流するフリーアナウンサーのよしのがり牟田さんと元宝塚男役の穂高ゆうさん、りゅう代表の3人が登壇した。

 りゅう代表は幼い頃から父親に激しい暴行を受け、記憶をなくすほどの衝撃を脳に受けたこともあるという。恐怖や幼さ故に自分にも問題があるのではと思い、医師や学校の先生にも伝えられなかったと振り返った。

 大人になっても後遺症は続き、幼少期の性的虐待未遂の影響で婚約も解消。過呼吸、自律神経失調症、うつなどに悩まされ、仕事も失った。「大人になったら子どもの頃の虐待は関係ないだろうと言われたり、虐待のことを話すと違う目で見られたり、言葉や態度でも傷ついた」と理解が得られない苦しみを伝えた。

 「信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも心が落ち着く」とのりゅう代表の言葉に、穂高さんは「傾聴の大事さを感じた。話を聞いてくれる人が増えてほしい」と願った。牟田さんは「心に負った傷によって人生が大きく変わることも障害だという考え方が、普通にならないといけない」と当事者への理解を深めるよう求めた。(古賀真理子)