深刻な事故につながりかねない落雷は佐賀県内でも観測されている=2021年7月、佐賀市

 人命が危険にさらされる雷。屋外のイベントなど人が集まる場所では被害が広がる恐れもあり、4月には宮崎市内で高校生のサッカーの試合中に落雷事故が起きている。雷が落ちやすい場所や身を守るための対策をまとめた。(円田浩二)

 雷は大気中で大量の正負の電荷分離が起こり、放電する現象で、発達した積乱雲によってもたらされる。電荷分離は雲の中であられや氷の結晶が衝突することで生じ、雲から地上に向かって放電することを落雷と呼んでいる。

 気象庁によると、雷は海上や平野部、山の上など場所を選ばずに落ちる。開けた場所に落ちやすく、具体的には、グラウンドやゴルフ場、屋外プール、砂浜などがある。高い所に落ちる傾向が強く、山頂や尾根といった場所では人に落雷する恐れが高まる。

 雷に対して比較的安全な空間として、鉄筋コンクリート建築、オープンカーを除く自動車、バス、列車の内部を挙げる。木造建築の中も基本的には安全とし、電気器具や天井、壁から1メートル以上離れることで安全性がさらに増すという。安全な空間に避難できない場合は、電柱など高さがある物の近くで一定の条件を満たした「保護範囲」に一時的に退避する方法もある。

 適切な避難行動につなげるための情報収集も欠かせない。インターネット上で利用できる「雷ナウキャスト」は、雷の活動度を4段階で1時間先まで予測している。1キロ四方単位で解析し、10分ごとに更新する。落雷などの恐れがある時に発表される雷注意報も参考になる。佐賀県内では2023年に計86回発表されている。

 宮崎市では4月3日、私立鵬翔高グラウンドで試合のために訪れていた熊本県立鹿本高のサッカー部員18人が落雷により搬送される事故が起きた。

 雷をもたらす積乱雲が近づいてくる際にはいくつかの兆候があり、佐賀地方気象台は「真っ黒な雲の接近や、雷鳴、急に冷たい風が吹くといった現象に注意してほしい」と呼びかけている。