伊東靖洋さん「大筒撃ち」

 プロ写真家への登竜門と位置付けられる日本写真家協会の公募展「第49回 2024JPS展」の一般部門に、小城市の伊東靖洋さん(67)=佐賀県食糧勤務=が県内から唯一、入選を果たした。火縄銃を撃ち放った一瞬を捉えた迫力あふれるカットで、伊東さんは「まさに一発勝負で挑んだ。射撃の瞬間、撃ち手の顔は煙で隠れてしまうが、この瞬間だけ顔がはっきり見えた」と話している。

 入選作「大筒撃ち」は昨年11月、福岡県朝倉市秋月で披露された「林流抱え大筒」を撮影した。火薬を込めてから放つまでの5秒間に100カットを連写し、合わせて約700カットを収めた。

 伊東さんはこれまで、ワイングラス越しに撮影した花火や、製紙工場から立ち上る白煙の中で輝くバルーンなど幻想的な作品を発表してきた。JPS展では2008年から入賞・入選を重ねており、今回が7度目の受賞となる。

 伊東さんは「雪がちらつく日だったのに加えて、夕方近くは辺りが暗くなり、火花がしっかりと光って見えた」と振り返る。

 日本写真家協会会員の岩永豊さん(佐賀市)は「撃ち手の表情が煙の合間から見え、その周辺に火花が飛び散っている。画面構成が巧みでベテランの実力を感じさせる」と評価する。

 今年の応募総数は、1720人(一般1506人、18歳以下部門214人)から、3832点(5223枚)が寄せられた。審査の結果、242人(一般200人、18歳以下42人)が入賞・入選した。(古賀史生)

 ▼「日本写真家協会写真公募展〜第49回 2024JPS展」は5月18日〜26日まで東京都写真美術館、6月18日〜23日まで京都市美術館別館で。