学芸員の中村早智惠さん(右)に取材する龍谷高の生徒たち=佐賀市の徴古館

 松原神社(佐賀市松原)の門前町として栄えた商業通り「新馬場通り」の歴史を記録に残そうと、龍谷高生徒会の11人が取材と原稿執筆に取り組んだ。学芸員や歴史を知る飲食店経営者、神社の宮司へのインタビューなどをまとめ、ウェブサイトで公開している。

 新馬場通り周辺のまちづくりに取り組む市民グループ「佐賀ん町屋ば甦(よみがえ)らす会」(武藤正人会長)が、歴史を知る人の声を集めるアーカイブプロジェクトの取材メンバーとして若者を募集し、龍谷高の生徒が手を挙げた。

 新馬場通りは松原神社の参道で、長さ約150メートル。市文化財課や同会によると、明治中期から昭和初期までは米穀取引所を核に旅館、料亭、銀行が集まり、商人らが情報を持ち寄り交換するなど、市の経済の中心になっていたという。

 活動は2023年10月、周辺の散策から始め、徴古館の学芸員や通りの老舗店舗などに話を聞いた。ウェブサイトに掲載する原稿を手分けして執筆し、画像も自分たちで選んだ。公開中のウェブサイトには「伝統が途絶えないよう、語り継いでいきたい」といった感想もつづっている。

 徴古館の取材などを担当した3年の見島浩輝さんは「新馬場通りが佐賀にとって重要な場所だということを感じた」と話した。

 プロジェクトは3年計画で、2年目の本年度は取材内容を冊子にして関係機関に配る。最終年の25年度は取材メンバーを中心に、通りの「これから」を議論する場をつくる。(川﨑久美子)