シリーズでお伝えしている「佐賀人十色」今回は佐賀県内で飼い主のいない猫を減らそうと、行政と協力しながら様々な取り組みを行っているボランティア団体。殺処分数の減少にもつながっています。

飼い主に捨てられるなどして、生活する場を失った犬や猫。これまでは、里親が見つからなかった場合、処分されていました。

【県健康福祉部生活衛生課 藤木美和さん】
「現状佐賀県ではもらわれなかったからといって殺処分というのはないので、できるだけ譲渡などを行って殺処分を行わないようにということで取り組みを行っています」

ここ10年の間に、県内で処分された犬と猫の数です。10年前の2013年と比べると県の譲渡施設「いっしょけんね」が設立された2015年は約半分。その後も、順調に減少し2021年には100を切りました。
そして昨年度は19匹と最も少なくなっています。収容数も県の譲渡センター設立当初の5分の1まで減少し、昨年度は犬猫合わせて204匹が新しい飼い主の元へいきました。
一方、県での取り組み以外でも殺処分される動物たちを少しでも減らそうと活動を続けている団体があります。

県内で活動す動物愛護ボランティアハッピーボイスです。元々、野良猫の保護活動を個人でしていた甲斐めぐみさんさんが同じ志を持つ人に呼びかけ2011年に立ち上げた団体で、月2回譲渡会を開催しています。

【甲斐めぐみさん】
「(不妊)手術が間に合わずに子猫がたくさん産まれていることが目について、そうなると新しい里親を見つける活動を一緒にしなければならないなと思って譲渡会を始めた」

譲渡会ではハッピーボイスで保護した猫だけでなく、一般の人が保護していた猫も加え年間で約200匹を新しい飼い主に引き渡しています。譲渡には条件があり、「完全に室内飼い」であること、「新たな飼い主の年齢は59歳以下であること」が決められています。また、条件を満たしていてもすぐに里親になれるわけではありません。

【甲斐めぐみさん】
「環境にはすごく敏感なのでゆっくりゆっくり1週間・2週間かけてその環境とその里親さんに慣れて仲良くなっていただくということで2週間のトライアル期間中を過ごしていただいている」

この日は、3匹の猫が新しい家族に迎え入れられました。

【里親】
「少しでも長生きしてもらえればそれが一番です」
「(先住猫と)仲良くなれば嬉しく思う」
【譲渡会参加者】
「まだトライアル期間ですが、無事に2週間過ごしてくれたらこれから幸せに過ごしていただけたらと思います」

【甲斐さん】
「一匹一匹幸せになってもらうというのが私たちの願いなので、シェルター(一時的に引き取る施設)から里親さんのところに行ったときはすごく嬉しい気持ちになる」

ハッピーボイスの活動は譲渡会だけではありません。
一斉TNRです。トラップ・ニューター・リターン。野良猫を捕獲し、一斉に去勢または避妊手術、そして元の場所に戻すという取り組みです。

【甲斐さん】
「殺処分になるほとんどの猫が乳飲み子、子猫。そういう産まれてくる命を増やさないというのがTNR活動」

猫が1度に出産する数は3匹から5匹。8匹以上出産することもあると言われています。保護して新しい里親を探すのも限界があるため、増やさないことも重要です。

【甲斐さん】
早いですね「そうですね。お腹減ってるからこの子たちは。あとは怖がらないように目隠しして少しでも安心させる感じです」

2日間で捕獲した猫はあわせて92匹。ハッピーボイスでは年間約1000匹の手術をしています。

【甲斐さん】
「私たちハッピーボイスが皆様からご支援いただいたもので協力していただいてしている。最近は各市の行政の地域猫支援事業というのが広がってきているので行政からの相談を受けることがとても多いです」

行政からの相談で手術をすることになった場合は行政が費用を負担します。今回の一斉手術の会場は宮崎県延岡市。捕獲した猫を車に乗せる前に体調を1匹ずつ確認をします。

手術は不妊手術を専門とする獣医師4人が行い、ハッピーボイスのメンバーも手術前の準備などを手伝います。日々、ボランティアとして様々な活動をし、不幸な命を減らそうと努力しているハッピーボイス。将来の理想は・・・

【甲斐さん】
「子猫が足りない、欲しい人がたくさんいるけど足りないって言ってもらえるような、私たちが言いたくなるような世の中になってほしいです」

【藤木さん】
「ひとりひとりがきちんと最期まで責任をもって飼育していけば殺処分も減らしていけると思っている。今後も県の動物愛護が進んでいくような取り組みを行っていきたいと思う」