島根県内で大麻に手を出す若者が後を絶たない。県警が2021〜23年に摘発した34人のうち、79・4%に相当する27人が20代以下だった。県警は、交流サイト(SNS)などで「大麻は害がない」といった誤った認識が若者に広がっているとして、警戒を呼びかけている。

 県警によると、大麻事件で摘発された人のうち、20代以下の割合が、21年は11人中8人(72・7%)、22年は10人中8人(80・0%)、23年は13人中11人(84・6%)だった。

 若者にまん延している背景には、個人でも栽培が可能なほか、覚醒剤に比べて価格が安い点がある。島根県内で23年に覚醒剤や大麻の使用、所持などで摘発された27人のうち、覚醒剤は14人で、全員が30代以上だった。一方、大麻は摘発された13人のうち、20代以下11人、30代1人、50代1人とほぼ若年層だった。

 大麻を巡っては「依存性が低い」「有害性を示すデータはない」などの誤情報がSNS上で広がる。警察庁が昨秋、大麻取締法違反の所持容疑で摘発された容疑者を調べたところ、「危険性はない」と認識していたのは75%を超えた。

 SNSで盛んに取引されている点も若者の乱用を助長している。

 麻薬及び向精神薬取締法違反と大麻取締法違反の罪に問われ、松江地裁浜田支部で執行猶予付き判決を受けた島根県西部の20代の男は、今年1月の公判で数年前からSNSで密売人から購入し、周囲にも薬物使用を勧める友人が2、3人いたと述べた。

 大麻を含むリキッドを服用し「ストレス発散や気分転換になった。他の発散法はあったかもしれないが、(薬物が)自分に一番合っていると思った」と明かした。

 大麻はより強い薬物使用の入り口になる「ゲートウエー・ドラッグ」と呼ばれる。県警組織犯罪対策課の花岡隆次長は「興味本位で手を出さないよう広報や防止を図る」と強調した。