島根県の丸山達也知事が27日、日産自動車(横浜市)が製造する県公用車の新規購入中止を検討する考えを示した。日産が下請法違反で公正取引委員会の勧告を受けた後も取引先に支払う代金の不当な減額を続けた疑いがあるとの報道を受け、「日産の車両を漫然と買ってもいいのか」と強調した。

 東京・霞が関の経済産業省で伊吹英明製造産業局長らと非公開で面会した後、記者団の取材に答えた。

 報道を受けて日産が週内にも公表する調査結果や国の対応、地方自治法上の制約を確認した上で、新規購入を見送るかどうかを判断する。購入中止の期間は1年程度を想定。県総務事務センターによると、2023年度に県で一括購入した車両34台のうち、13台が日産車両という。

 不当減額を巡っては、約2年間で36社を対象に一度決まった支払代金から計30億円超を減額したと公正取引委員会が認定。日産は3月に再発防止の勧告を受けた。

 丸山知事は、同月の定例会見などで減額分の利息の不払いや指摘以外の期間に減額があった可能性に触れ、「再発防止の勧告を受けてもなお優越的地位を振りかざして下請け企業を扱っている」などと日産の対応を非難。同月に公取委や中小企業庁を訪れ、政府が掲げる賃上げの実現に向け、行政指導など早急な是正を求めたものの、前向きな回答はなかった。

 27日に3月と同様の内容を改めて要望した丸山知事は「それみたことか。厳格に対応しないから(日産が不当な減額を)継続している」と国の姿勢を疑問視。「問題を起こしていない会社と同じように買っていてよいのかを考えざるを得ない」と新規購入の中止検討を明らかにした。
(2024年5月27日20:37 記事内容を更新しました)