日本銀行は26日の金融政策決定会合で、政策金利である短期金利の誘導目標を現行の0〜0・1%程度で据え置く、事実上のゼロ金利政策の維持を全員一致で決めた。長期国債の買い入れも3月の前回会合で決めた方針を継続する。午後3時半から記者会見した植田和男総裁は足元の円安進行で物価に「大きな影響は出ていない」と発言。追加利上げに前向きな姿勢を示さなかったこともあり、会見中にも一層の円安が進む形となった。

156円台に突入

26日の東京外国為替市場では、正午過ぎに日銀の決定内容が公表された直後に円相場は平成2年5月以来、約34年ぶりの水準に1ドル=156円台に突入した。

植田氏が記者会見を開いた1時間余りの間にも東京外国為替市場では円売りの動きが広がり、円がドルに対して最大で80銭ほど売られ一時、1ドル=156円台後半まで下落した。

外国為替市場では日米の金利差が意識され、歴史的な円安ドル高水準が続いている。足元の円安進行への対応や追加利上げについて、会見で植田氏から具体的な言及が乏しかったことで、今後さらに円安が進む可能性もある。

物価上昇率は引き上げ

一方、会合後、公表された経済や物価の見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では令和6年度と7年度の消費者物価上昇率を引き上げた。

6年度の消費者物価上昇率は1月の前回リポートで示した前年度比2・4%から0・4ポイント上方修正。2・8%とした。足元の原油価格上昇や電気料金の引き上げを反映した。7年度は1月時点の1・8%から1・9%に引き上げ、今回初めて示す8年度も1・9%とした。3月会合で「2%の物価目標」達成の確度が高まったとして、マイナス金利解除に踏み切った見方を反映した形だ。日銀は今後も経済状況や物価上昇の勢いを点検し、追加利上げの時期を探る。景気の現状判断は「緩やかに回復している」を維持した。(永田岳彦)