岡山市教委は、児童生徒それぞれの理解度を解析して問題を出すAI(人工知能)ドリルなど新たなデジタル技術を、全ての市立小中学校に導入した。国の「GIGAスクール構想」で1人1台配備した情報端末を有効活用し、学習の質の向上につなげる狙い。9日には平井小(同市中区平井)で公開授業があった。

 AIドリルは小学校が4教科(国語、算数、理科、社会)、中学校が5教科(国語、数学、英語、理科、社会)に対応する。いずれの教科も過去の回答をAIが学習し、課題の克服に向けた問題を出題してくれる。自習や家庭学習で使用する。

 授業支援ソフトも取り入れ、教諭が出題した問題への意見を集約する際、端末の画面で他の人の回答を閲覧できる。国語で感想を話し合う際に特定のキーワードを拾い上げたり、算数の問題でみんなの回答を見て自分の答えを分析したりすることを想定している。

 2年のクラスで行われた公開授業では、児童約30人が算数で授業支援ソフトを使った。バナナやブドウなど好きな果物を選択し、ソフトで集計された数値を確認。他の児童のやり方を参考にしながら、それぞれ表やグラフで見やすく整理した。

 女子児童は「友達はたくさんの色を使って表を作っていて、すごく分かりやすかった。AIドリルで漢字をいっぱい覚えたい」と話した。

 新たなデジタル技術の導入について市教育研究研修センターは「子どもの考える力や主体性の向上が期待できる。各校での効果的な活用事例を収集し、有効に使っていく」としている。

 AIドリルと授業支援ソフトは教育大手・ベネッセコーポレーション(岡山市北区南方)の開発した「ミライシード」で、4月中旬から配備を始めた。事業費は1億7500万円。