全国各地の神社の狛犬(こまいぬ)がモチーフとなった備前焼などのオブジェが、倉敷市児島味野の国重要文化財・旧野崎家住宅で展示されている。備前焼作家・浜松昭夫さん(79)=玉野市=が制作し、シルエットや表情をミニチュアサイズで忠実に再現。個性豊かな作品が住宅の屋内外に並び、来場者を出迎えている。7月21日まで。

 浜松さんは地域によって姿形が異なる狛犬に興味を抱き、15年前から岡山と東京を中心に東北から九州まで全国の神社を行脚。自身で撮影した写真などを参考に、王子が岳山頂近くに構える備前焼王子窯でオブジェを作っている。

 数十センチ大の90対(180体)を芝生広場や蔵、座敷の縁側などに展示。石彫や瀬戸焼が盛んな愛知県などで見られる陶製の狛犬は、複数の土をブレンドして質感や色を再現した。由加神社本宮(倉敷市児島由加)のものは片膝を立てた独特のスタイル。逆立ちをしたり、トラやイノシシを模したりした作品も並ぶ。

 住宅を管理する公益財団法人・竜王会館が、瀬戸内海国立公園指定90周年の記念事業として企画。神社の守り神である狛犬は江戸から明治にかけ、各地で盛んに建造されたといい、浜松さんは「各地の伝統や当時の繁栄ぶりを知る資料としても注目してほしい」としている。

 入館料は大人500円、小中学生300円。月曜休館。問い合わせは旧野崎家住宅(086―472―2001)。