昨今、若年層を中心にブームになっている「Y2K(ワイツーケー)」。端的に説明すると、Y2Kとは2000年前後に流行ったファッションやカルチャーのリバイバルブームを表す。いわゆる平成ギャルファッションを象徴するミニスカートや厚底ブーツ、ルーズソックス、派手にデコレーションした小物やアクセサリーなどが特徴として挙げられる。

2024年2月に登場した『piemo(ピエモ)』がY2Kプリクラだった

こうしたY2Kのブームは、いまプリントシール機にも伝播(でんぱ)している。それが2024年2月上旬にリリースされた『piemo(ピエモ)』だ。この筐体(きょうたい)には、ヒョウ柄やゼブラ柄を盛り込んだ背景や、当時流行ったレインボーやラメ感のある落書き機能を搭載。派手でギラギラ感のある平成ギャル文化の特徴を、より分かりやすく今風にアレンジして、令和の女子高生の心を掴んでいる。

ガラケーを持参して撮影する文化も

2024年2月にリリースされた『piemo(ピエモ)』

2024年2月にリリースされた『piemo(ピエモ)』

ピエモをリリースしたフリュー広報部の疋田裕貴さんは、開発経緯をこう語る。

フリュー広報部・疋田さん「ここ数年のプリントシール機の傾向としては、背景が無地のシンプルなテイストが人気でした。しかし近年、平成レトロブームにより『当時のような派手なプリを撮ってみたい』というニーズが高まり、piemoのリリースにいたりました。

ここ最近の傾向では、ミニスカやルーズソックスなど制服にアレンジを加えたり、ガラケーをメルカリで購入してアイテムとともに撮影を楽しむ傾向も見られます。こうしたトレンドを意識しながら、当時の筐体をいまっぽくアレンジしました」

ゼブラやヒョウ柄に、レインボー色のタッチペン

では実際に、ピエモのY2Kらしい部分はどこなのか。疋田さんと一緒に撮影しながら聞いてみた。

まず背景画面から、いきなりY2Kらしさ満載だ。ゼブラやヒョウ柄、ハート柄、星などが散りばめられた背景が盛り沢山。色もピンクや紫、薄茶色などカラフルな配色を用意されており、背景の組み合わせは計100パターン以上にのぼるという。

ゼブラやヒョウ柄、ハート柄など、派手でギラギラした背景が盛り沢山

ゼブラやヒョウ柄、ハート柄など、派手でギラギラした背景が盛り沢山

色味もカラフルで選びやすい

色味もカラフルで選びやすい

ブースに入りいざ撮影という瞬間も、平成らしさが垣間見えた。小顔ポーズなどの定番に加え、「ギャルピース」「ラジャー」といった懐かしのポーズ見本も盛り込まれていたのだ。アラサーの筆者にとってはどこか懐かしいポーズも、イマドキの女子高生にとっては新鮮で好評なのだという。

恥ずかしさを感じながらのギャルピース……

恥ずかしさを感じながらのギャルピース……

撮影が終わると、落書きブースに移動。疋田さんが落書きしながら、ポイントを説明してくれた。

フリュー広報部・疋田さん「ペンの色は通常に加えて、レインボーやラメなどキラキラした光沢感のある仕様を搭載しています。しかもピエモで落書きするタッチペンは、実際に当社で2000年代に搭載していたものを復刻しているんです。当時プリを撮っていた人からしたら懐かしいアイテムかもしれません(笑)」

また落書きの仕方も、平成当時のような派手な落書きをワンタッチで加工できる「一発落書き」を採用。当時を知らない人でも、簡単にアレンジできるよう工夫した。

加工画面。画面右下のタッチペンにはレインボーなどの配色が用意されている

加工画面。画面右下のタッチペンにはレインボーなどの配色が用意されている

加工が完成。背景や色味がどこか平成っぽい

加工が完成。背景や色味がどこか平成っぽい

平成ギャル文化が刺さる理由

一通り撮影してみると、背景も加工も遊び心がある。純粋にプリを撮影して可愛く加工するだけでなく、友達と楽しみながら盛り上がる一作という印象だった。

フリュー広報部・疋田さん「2000年頃のプリって、加工も派手にして表情やポーズも結構はっちゃけていたと思います。近年はSNSでどう綺麗に写るかを気にする女の子も多く、落書きや表情なども控えめにするのが主流になっていました。そうした最近の傾向に対して、平成ギャル文化の派手でキラキラした雰囲気を楽しめるという点で、piemoは楽しんでいただけているのだと思います」

昨今、こうした平成のトレンドを回顧するプリ機は話題になりやすく、実はピエモ以外にも存在している。

それが『AI歴代バズプリ』というキャンペーンだ。これは5月7日までの期間限定で、対象の筐体で撮影したプリントシールを、かつて流行った筐体の写りに寄せるという施策だ。

『AI歴代バズプリ』。4月4日から5月7日の期間限定で、2011年に大ヒットしたプリ機『LADY BY TOKYO』の映りに寄せた加工ができる

『AI歴代バズプリ』。4月4日から5月7日の期間限定で、2011年に大ヒットしたプリ機『LADY BY TOKYO』の映りに寄せた加工ができる

いまとなっては、プリントシール機自体が平成を象徴するコンテンツとして注目を集めているという。

そこで筆者は、かつてプリントシールの筐体には、どのようなものがあったのか気になった。後編記事では、疋田さんに当時ヒットした筐体を解説してもらいながら、プリントシール機の変遷を追った。