3月26日に予定されていた北中米ワールドカップ・アジア2次予選第4節の北朝鮮対日本が、相手国の意向で中止。没収試合となり、3−0で森保ジャパンの不戦勝扱いになった。

 この結果、予選4連勝となった日本は2試合を残してグループ2位以内が確定し、最終予選進出を決めた。

 とても不可解なことが起きたね。ワールドカップ予選という公式試合で、延期ならばともかく、中止はほとんど聞いたことがない。一番気になっているのが、その決定までの不明瞭さだ。

 たとえば、天候不順や重大な事件など、開催が難しい状況ならば納得できる。だけど、今回は意味不明といった感じがする。

 一部の報道では、北朝鮮が日本国内の感染症を原因に試合開催を拒んだという話も出ている。でも、それならば、より危険な日本での試合に代表選手を派遣しないはずだ。

 中止が決まってからの続報が少ないのも、どうなんだろうね。報道があっさりしていて、何があったのかが分からないままだ。

 女子との違いも不思議だよ。なでしこジャパンのパリ五輪・アジア最終予選では、敵地での北朝鮮戦の会場が直前まで決まらず、何とか代替地がサウジのジッダに。ギリギリのタイミングだったとはいえ、試合はできた。でも、男子はなぜこういう結果になったのか。
【PHOTO】激戦必至の北朝鮮戦。国立に集まり大声援で選手たちをサポートした日本代表サポーター
 最終的にはFIFAが裁定を下したけど、AFCは試合開催に向けて尽力したのか。組織にとって一番良くないのが、情報を明かさないこと。本当の理由が公開されないと、不要な疑惑を生みかねない。

 6月に北朝鮮のホームで開催予定のシリア、ミャンマーとの試合は、現時点では中止になっていない。日本とは試合ができなかったのに、仮に他の国となら試合が行なわれるとしたら、それこそおかしな話だよね。理由いかんでは、出場停止などの厳しい処分も必要なのではないか。

 残念ながら、僕にも正確な情報が入ってきていない。だから、謎、不思議としか言いようがなく、コメントも難しいんだ。サッカー界にとって大きな問題だから、原因をしっかりと調査して明らかにほしいね。

 皮肉なのが、この事態が世界であまり大きく報じられていないことだ。これがブラジルやイングランドの試合だったら大騒ぎになっていたのではないかな。こんな形で、アジアの地位の低さを感じてしまったよ。

 森保ジャパンは、次の代表活動になる6月シリーズでは、ミャンマー、シリアと戦う。すでに予選突破を決めているから、言い方は悪いけど、消化試合だ。相手との差が大きく、9月に予定されている最終予選のシミュレーションにするのは難しいだろう。

 実力差が明確な試合では、選手の怪我のリスクも大きくなる。日本などの強豪は、アジア2次予選をシード扱いにしてもらう必要もあると思う。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、78歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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